“頂き女子りりちゃん”懲役13年求刑は男尊女卑?ドキュメンタリー『Tinder詐欺師』から「男女での罰の重さの違い」を考える
しかし、どれだけ手の込んだ嘘もいつかはバレるもの。日本でも、広告代理店勤務の40代既婚男性が複数の婚活アプリで独身女性を騙し、被害者女性たちが連帯して集団訴訟を起こしたニュースがありましたが、このレヴィエフの被害者たちも、勇気を持って被害を告白したことで彼を追い詰めていきます。
ちなみにりりちゃんはお金を男性からお金を引き出すための「りりちゃん魔法完全攻略マニュアル」という指南書を販売。公判でも、「おぢには病み営業(病んだところを見せる)」と、親しくなったら自身の生い立ちの闇を見せて気を引くよう推奨していたことを明かしていました。 お金を引き出すためには弱みを見せて同情を買えというのは、国境や性別を超えた詐欺のセオリーなのですね。
さて、これだけ入念に計画された詐欺行為によって女性たちから1000万ドルを騙し取った、本名シモン・ハユットが逮捕され、その求刑の内容はどんなものだったと思いますか? 懲役15ヵ月。これがノルウェーやイギリスなど複数の国から詐欺、窃盗、文書偽造で指名手配され、2019年にギリシャで逮捕された後はイスラエルに強制送還になった彼が言い渡された判決です。刑務所内での素行が良かったために、実際にはわずか5ヵ月で釈放されました。このドキュメンタリーに顔出しで出演した被害者の3人の女性たちは、配信が開始された2022年時点では彼に背負わされた借金をまだ返し続けていたのにも関わらず、です。あっま~~!! びっくりするくらいに甘すぎる判決。 とはいえこれは国が違うので、日本国内での判例も調べたところ、2021年に3人の女性に結婚を持ちかけて700万円近くの金品を騙し取ったとされる51歳の男性が懲役5年6ヵ月の実刑判決に。700万円というのは立件分のみの金額で、6年間で10人以上の女性が、合計1億円に上る被害に遭ったと見られています。 この男性はすべてのお金を競艇に注ぎ込んだとか。りりちゃんはホストに課金していたようですし、やはり悪銭は身につかないということなのか。 マニュアルまで作成して詐欺を布教していたという社会的な影響や、どの罪名が適用されたかなどの違いはあるのでしょうが、これらの事件を比べると、やはり司法は騙された女性よりも男性の方に優しいような印象も。りりちゃんの犯行も、男性によるものならばここまで注目されなかったのではないかと思います。皆さんはどう思われますか?
さかい もゆる