NYダウ 700ドル超高で2日連続の最高値 「トランプ・トレード」のリスク指摘も…
ニューヨーク株式市場で16日、ダウ平均株価が大きく値を上げ、2日連続で史上最高値を更新した。市場では、アメリカのトランプ前大統領の返り咲きを意識した「トランプ・トレード」が目立っている。しかし、専門家からは市場の“見切り発車”の動きにリスクを指摘する声も…。 【動くグラフ】米大統領選挙2024 バイデンVSトランプ・支持率の推移
■ダウ大幅高で2日連続最高値
16日のニューヨーク株式市場、ダウ平均株価は、前の日の終値から742ドル76セント値を上げ、4万954ドル48セントで取引を終え、2日連続で史上最高値を更新した。この日は、朝方発表されたアメリカの6月の小売売上高が市場予想を上回り、景気の底堅さが示された。市場では、経済成長を維持しながらインフレを抑制する「ソフトランディング」が実現することへの期待が高まり、幅広い銘柄に買いが広がった。また、アメリカの中央銀行にあたるFRB(=連邦準備制度理事会)が9月に利下げを開始するとの観測も引き続き株式相場の支えとなっている。
■「トランプ・トレード」にはリスクも…
アメリカのトランプ前大統領の暗殺未遂事件を受け、市場ではトランプ氏の返り咲きを見込む「トランプ・トレード」が活発化し、株価上昇につながっている。この市場の動きについて、岡三証券ニューヨーク駐在員事務所の荻原裕司所長は次のように分析している。 岡三証券ニューヨーク駐在員事務所・荻原裕司所長「第2次トランプ政権が誕生すれば、減税の延長に加え、原油掘削の規制や金融機関に対する規制が撤廃されるとの期待から、景気の動向に敏感な銘柄を中心に買いが広がり、ダウ平均の大幅な上昇をもたらしている」 ただ、荻原氏は、11月の大統領選挙の結果を待たない“見切り発車”の「トランプ・トレード」にはリスクが伴うと指摘する。 岡三証券ニューヨーク駐在員事務所・荻原裕司所長「トランプ氏が掲げる政策には、関税引き上げや厳格な不法移民の取り締まりなどが含まれており、これらの政策はインフレの再燃や消費減速につながるリスクがある。今後、選挙戦が本格化し、トランプ氏が具体的な政策内容を提示することで、市場がインフレの再燃や消費減速リスクを意識することも想定される。中長期的に見れば、株価は上昇が続くと想定されるが、11月の大統領選までは一本調子の上昇ではなく、一進一退の動きになると考えている」