西日本編第2弾! レトロ自販機の「神様」がいる店|レトロ自販機の旅【第13話】
【レトロ喫茶の旅#13】レトロ自販機の旅 前回から西日本編がスタート。そして、西のレトロ自販機といえば「神様」と呼ばれる田中健一さんを語らずにはいられない。いま、西日本を中心に数多くのレトロ自販機が稼動している理由の一つが田中さんの活躍。もともと川鉄計量器(通称:川鉄)製自販機や自販機商品の販売を行っていた田中さんだったが、1981年に独立。その後、親交のあった自販機コーナー「ロック」オーナーからお店を譲られ、94年に現在の「オアシス」を開店させた。 【画像19枚】オーナーの楽しい人柄も含め、レトロ自販機マニアならば、間違いなく楽しむことのできる自販機店だ そのころからアフターサービスを終了させたメーカーに代わり、メンテナンスや修理を請け負い始める。その範囲は自身が販売してきた川鉄製だけでなく、富士電機、太平洋工業製自販機にもおよび、現在にいたるまで多くのレトロ自販機を復活させてきた。 前回紹介した長沢ガーデンをはじめ本拠地である島根、そして山口、広島、岡山、鳥取と西日本の十数店もの店舗での自販機修理も請け負っている。さらに、オアシス以外にも自販機3店舗を管理運営。まさに西日本レトロ自販機の中心人物として、日々大活躍しているのである。 そんな田中さんのホームであるオアシスは、国道9号線におけるオアシスそのもの。突如現れるオレンジ色の外装が遠くからでも目立つ。その自販機ラインアップも充実しており、富士電機製めん自販機が2台のほか、飲料自販機、地元食材を利用した軽食の自販機など、細長い店舗にずらりと並ぶ。その一番奥にある調理場では、田中さん自身がめんの素材を調理。 田中さんの楽しい人柄も含め、レトロ自販機マニアならば、間違いなく楽しむことのできる自販機店だ。 長野県から島根県まで約700㎞。今、日本一移動距離を稼ぐシャンテ。西日本のめん類自販機の定番は肉うどん。オアシスも例外ではなくラインアップされているが、今回はその隣の肉そば(350円)をセレクト。関東のレトロ自販機店では圧倒的に人気で、メニューにラインアップしている店舗が多いそばだが、関西から西ではほとんどがうどんなので、珍しい。ちなみに肉うどん(350円)もラインアップされている。めんの上に乗っている具材は田中さんが店舗内で作っており、手作り感がまたやさしい味を演出している。長距離トラックの運転手にとっては、無機質な街道沿いにある、まさにオアシスで食べる一杯となっているのである。 もう1台のめん類自販機にはラーメン(350円)と天ぷらうどん(350円)がラインアップ。田中さんが調理している天ぷらがのっているということで、天ぷらうどんをセレクト。具材の種類が多く、エビの天ぷらは衣が多すぎず、さくさくした状態を保つ。関東のうどんと比較すると薄めの優しい味付け。オアシスの店舗内は細長く、自販機前の通路には木製のベンチが置かれていて昭和時代の駅の待合室といった雰囲気。そんな中、うどんを食べながらつい哀愁にひたってしまう小林嬢だ。 初出:ノスタルジックヒーロー vol.203 2021年2月号 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部