ツイッターによる政治献金、日本での実現性は?
2008年のオバマ氏の選挙戦で際立ったのは、小口の個人献金だ。前嶋和弘・上智大教授が2010年に発表した論文によると、大統領選直前の2008年10月のオバマ氏の献金総額は、マケイン氏の2倍以上の7億ドル(約840億円)を超えた。また、オバマ氏の個人献金総額のうち、52%が200ドル以下の少額献金者だった。前嶋教授の論文によれば、「献金する人物は多くの場合、その候補に投票する。小口の献金の数は、ほぼ確実にオバマ氏に投票する数を意味している。また、献金するほど熱心な支持者は選挙ボランティアなども積極的に行う」という。オバマ氏の選挙戦術は、その後のアメリカの選挙戦の見本となった。ツイッターを通じた政治献金のしくみは、アメリカの選挙戦術に合ったものといえる。
日本でもネット政治献金は可能だが・・・
日本でもインターネットを通じて個人が政治献金することは、法律上可能だ。政治資金規正法によると、個人による政治献金は年間総額1千万円までで、政治家の政治資金団体やその他の政治団体に対し、年間各団体に150万円まで寄付できる。政治家個人に対しては金品・有価証券による寄付は禁止されているが、物品で150万円まで寄付が可能で、選挙運動については金銭での寄付ができる。 それでは、日本でツイッターによる政治献金が実現する可能性はあるのだろうか。ツイッター日本法人の広報担当者は「このサービスは米国のみで、将来日本で実現するかについては言及できない」と回答した。 日本でもすでにネット政治献金のサービス自体はあるが、あまり積極的に活用されているとは言いがたいのが現状だ。楽天は2009年7月よりクレジットカード決済を通じて政治家や政党に対してネット政治献金を行える「楽天政治LOVE JAPAN」を提供しているが、2015年5月までの5年10カ月で5508件、7692万5513円の献金申し込みにとどまっている。 ヤフーも2010年4月から同様のネット献金サービスを「Yahoo!みんなの政治」を通じて提供しているが、「現在、ネット政治献金を積極的に推し進める考えはなく、得意としている(政治についての)情報提供に注力していきたい」と答え、ネット献金サービスには消極的な姿勢をみせる。