「政治的言動しない」誓約拒否した韓国歌手、コンサート中止に
慶尚北道亀尾(キョンサンブクド・クミ)が25日に予定されていた歌手イ・スンファンさんのコンサートを中止した。イさんの公演に反対する地域市民団体との衝突が懸念されるというのが理由だった。 亀尾市の金璋鎬(キム・ジャンホ)市長は23日午前、市庁で緊急記者会見を開いて、イ・スンファンさんの「35周年コンサートHeaven」関連の声明を発表した。 ◇亀尾市長「安全憂慮…貸款中止」 金市長は「市民と観客の安全を考慮して亀尾市文化芸術会館運営条例第9条により今回の公演のための貸款を取り消すことになったことをお知らせする」と明らかにした。これに先立ち、市は7月31日イさんのコンサートに関連する貸款申請を受けて亀尾文化芸術会館大公演会場の使用を許可した。その後、3日尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の非常戒厳令宣言など予想できない事態が発生し、イさんが尹大統領弾劾要求ろうそく文化祭に直接参加して公演を行って問題になった。 特に14日、尹大統領弾劾訴追案が議決された当日、水原(スウォン)公演の公演中に「弾劾されてうれしい。李明博(イ・ミョンバク)大統領時期に裏調査を受けたが、朴槿恵(パク・クネ)大統領時期にも心が安らかではなかった。これから心を落ち着ける世の中になるようだ」と発言した。 これに対して亀尾地域の13の市民団体は「イさんの発言と行動が政治的に偏向している」と指摘してイさんの亀尾コンサート中止を要求して19~20日の2日間、二度の抗議集会も行った。 ◇「誓約書要請したが、捺印を拒否した」 市民団体は声明を通じて「大統領弾劾で経済と政治が危機に陥ったこの重大な時局に弾劾賛成の舞台に立って政治的発言で国民分裂に先に立ったイ・スンファンの亀尾公演は直ちに中止するべきだ」とし「コンサートを口実にした政治的扇動を放っておくことはできない」と主張した。 これに対してイさんは自身のソーシャルメディア(SNS)に地域団体が掲げた横断幕の写真を上げて「横断幕のフォントが怖いです。なぜ彼らは美的感覚もないのしょうか」「チケット状況が最も良くないところだったのですが、ありがとうございます。保守右翼団体の皆さん」など反応を寄せた。 市はイさんが公演中に政治的発言をする可能性が高く、市民団体抗議デモなどによって事故が発生しかねないと判断した。これに対して関連条例を根拠に20日「政治的扇動と誤解を引き起こすような言動をしない」という誓約書に署名することをイさんに要請した。 金市長は「イさん側は法律代理人を通じて政治的言動をしないという誓約の代わりに『添付された誓約書に捺印する意思がない』という明らかな反対意志を書面で明らかにした」とし「市民の安全と生命を保護しなければならない亀尾市長としてやむをえず貸款を取り消さざるを得ない点を理解くださるようお願いしたい」と訴えた。 公演をわずか2日後に残した時点に貸款取り消しを通知して払い戻しなどの影響について金市長は「主催側が訴訟を起こせば亀尾市も法的対応を取ればよい」とし「亀尾市は関連条例と法的根拠により適切に貸款取り消しを行った」と強調した。 ◇イ・スンファン「残念でみじめ…法的対応予定」 この日午後、イさん側は亀尾市の公演会場貸款取り消しについて「残念でみじめだ」とし「法的対応を進める予定」と明らかにした。 イさんは自身のソーシャルメディア(SNS)を通じて「貸款規定と使用許可内容に全く存在しない『誓約書作成』要求を、それも契約当事者でもなく出演者誓約まで含む、貸款日時が差し迫った時点に、さらに日曜日の特定時間までに提出するよう要求し、『貸款取り消し』に言及するのは不当」と指摘した。 続いて「公演日直前に『政治的誤解などの言動をしないという文書に記名しろ』『記名しなければ公演取り消しになる場合もある』という要求を受けなければならないのだろうか。これは表現の自由を最優先の価値とする民主主義国家・大韓民国で起きてはいけないこと」と付け加えた。