参議院はなぜ重要か/衆議院よりも強力かもしれない?
7月4日に参議院選挙が公示されました。与野党が改選議席121をめぐって争います。このコラムでは選挙の対象となっている参議院がそもそもなぜ重要なのかについて説明します。 参議院は第二院であり、注目度は衆議院に比べ少ないかもしれません。過去に参議院は「第二衆議院」と揶揄されたことすらあります。関心が少ない理由は首相を決めるのが衆議院だからかもしれません。 憲法上は、首相の選定に限らず、法律を作ることや、予算を認める上でも衆議院の判断が優先されることになっています。しかしながら、首相を決める以外では参議院は衆議院とほぼ実質的に同じ力、いえ、ひょっとしたらそれ以上の力を持っているかもしれないのです。
参議院の力の源は2つ
最も重要なのは法律を作る上での参議院の力です。力の源は二つあります。 第一は、法案への衆議院と参議院の判断が異なった場合の決まりです。そもそも、法案を成立させる上では衆議院と参議院が賛成しなくてはなりません。それでは、衆議院が通過させた法案を参議院が否決した場合どうなるのでしょうか。現在のように野党が参議院で過半数議席を確保している(国会が「ねじれ」ている)場合には、この可能性は高くなります。 三分の二以上の衆議院議員が改めて法案に賛成し、再可決すれば、法案は成立することになっています。ただ、二つの課題が残ります。まず、与党が衆議院で三分の二以上の議席を持っていることは稀です。また、現在のように三分の二以上の議席を持っている場合でも問題は残ります。法案を参議院が審議しない場合、通過してから61日以降でないと再可決はできない決まりになっています。国会のスケジュールは窮屈なことが多く、審議を進めない場合、この決まりのため法案の成立はしばしば難しくなってしまうのです。 第二の源は、参議院は解散されないということです。内閣が衆議院をいつでも解散できるのに対し、参議院議員は6年間の任期が保障されています。内閣が法案に対し強い反対に遭った場合、衆議院に対しては解散することを示唆することで牽制することができます。しかしながら、参議院にこの手法は使えません。