インドで儲ける企業に目を向けない投資家の損失 株式投資するならこれからの新興国で動く企業が鍵だ
しかし、その状態は長くは続きません。いずれは法が整い、ヘルメット装着は義務付けられます。つまり、十分なバイク台数があり、そこにいる全員がヘルメットを購入するのです。台数の伸び×装着率。これが売上高につながります。 テレビに映し出されるたくさんのバイクとヘルメットを被っていないライダーの姿。「あれ? 誰もヘルメットを被っていないな」と気づけるかどうか。この視点が投資の成功の鍵を握っているのです。
ちなみに、SHOEIは世界のプレミアムヘルメット市場の60%以上のシェアを占めています。 ■インドのマーケットは日本の20倍!? 先進国では当たり前だけれど、新興国ではあまり見ないものは他にもあります。 ベビー用品を展開するユニ・チャームも、海外の豊富なマーケットをうまく取り込んでいます。ユニ・チャームの紙おむつが浸透している国が、中国です。中国では「体に近いものほど安全なものがいい」と思われています。国民の生活が豊かになると、布おむつから紙おむつへと替わります。製品への安全性の観点から、中国ではユニ・チャームの紙おむつが選ばれたのです。
ユニ・チャームが現在伸ばしている市場がインドです。インドは2023年に人口が世界一になり、経済成長も著しい新興国。四季報にも「インドでベビー用品おむつ販売伸長」「注力エリアのインドやアフリカは所得水準踏まえ低価格帯ベビー用紙おむつ育成強化し新規客獲得狙う」(『会社四季報』2023年2集春号より)とあり、今後の伸びにも期待が持てます。 インドのマーケットを狙っている企業は、他にもあります。文房具メーカーのパイロットについての四季報のコメントも、なかなか刺激的でした。「日本の20倍のインド初等教育児童をターゲットに昨年設立の現法で拡販」(2023年2集春号より)とあります。
インドの初等教育児童の人口は約1億3000万人。文房具は消耗品ですから、この人口が何度も買ってくれるとなると大変なことになります。日本の文房具の品質は海外でも知られていますから、今後パイロットが大きく伸びることにも期待ができるのです。 ここで、一つ間違えて覚えてしまってはいけないことがあります。海外にマーケットを広げていればどんな銘柄でもいい、というわけではありません。 ■TOTOウォシュレットは中国で伸びなかった