ニューヨーク過去140年で最大規模の地震…災害大国・日本から見たぜい弱なインフラへの懸念
■140年ぶりの最大規模の地震…大きな被害はないが警鐘も
アメリカ東海岸では地震はめったに起こらない。1950年以降、マグニチュード4.5以上の地震が発生したのはおよそ20回だけだという。現地メディアによると、ニューヨークで観測された大きな地震は、1884年に観測されたマグニチュード5.2。金曜に観測されたマグニチュード4.8と比べると4倍の規模だ。 幸い今回の地震では、マンハッタンの建物に大きな被害は報告されなかったが、ニューヨーク・タイムズは1884年と同じ規模のマグニチュード5.2の地震(今回の地震のおよそ4倍の規模)が起きると100棟が倒壊し、建物や交通機関、公共施設への損害は日本円でおよそ7000億円にのぼり、2000人が路頭に迷うと警鐘を鳴らす。
■築100年のビルが林立…日本と比べるとぜい弱なニューヨークの災害インフラ
ニューヨークで生活していると、インフラは災害大国・日本に比べてだいぶぜい弱だと感じる。都市の排水機能が弱いため、どしゃ降りの雨が少しの時間降っただけで道路は水浸しになり、100年以上前から走っている地下鉄の駅構内は、雨漏りどころか水が噴き出して至る所にバケツが出される。またグランド・セントラル駅周辺には、1920年代に建築された築100年の高層ビルが林立しているし、最近は下層階にいくほどスリムな造りで、見るからに揺れには弱そうなデザインのビルもある。橋やトンネルのインフラも老朽化していて、大災害が起きた場合マンハッタンからの避難経路がズタズタになることが懸念される。 ニューヨークでめったに起きない地震を体感し、被害が少ないながらも大騒ぎになったこの街を見て、地震大国の日本に生まれ育った者として災害への日頃の備えがいかに重要かを改めて実感した。 ■筆者プロフィール 末岡寛雄NNNニューヨーク支局長。「news every.」「news zero」のデスクやサイバー取材などを担当し、災害報道にも携わる。気象予報士。趣味は音楽鑑賞。