日米ともに金融政策は大きく動かず、米国景気の底堅さを背景にグローバル株式優位の展開続く=ナティクシス
一方、日本を含む世界経済への影響力が強い米国の経済動向については、「潜在成長率である年2%程度の成長に相当する成長を実現する安定期に入ったようだ」として、メインシナリオとして「ソフトランディング」を位置づけている。米国の成長を支えているのは、資本ストックと労働生産性の向上にあるとする。この2つの要素が現在は上昇しており、これが米国の潜在成長率を引き上げていると解説した。「米国の経済が失速するリスクは小さく、FRBが利下げに動くのも後ずれするだろう。利下げのタイミングは、9月、そして、12月にあるだろうが、この見通しは後ろ倒しになるかもしれない。年内に0.25%程度の利下げはあるとみるが、FRBは利下げを急がないだろう」と見通している。
その上で、当面のポートフォリオ戦略としては、「株式にオーバーウエイトをし、特に、日本と欧州の株式には期待が持てるものの、米国も外すわけにはいかない。債券に投資をするのは、まだ早い。中央銀行の金融政策の変更を待った方がいい。それまでは、債券市場の価格変動率は高い不安定な状態が続くだろう。債券市場は2022年、2023年とマイナスパフォーマンスだったが、2024年に関しても反発は期待し難い」と語った。
欧州株式については、現在のところ米国株式と比較してバリュエーションの差が過去最大に拡大しており、この差が縮小していく動きになると予測している。ただし、割高な水準にある米国株式市場であっても、米国企業の期待成長率は大きく「米国株式への投資は継続すべきだ」と語っている。この企業収益の利益成長率見通しは、米S&P500ベースで2024年が9.3%と日本のTOPIXベースの9.8%を下回るが、2025年には14.4%に高まる見通し。ただ、ハイテク株の多いNASDAQでは2024年にも25.2%の成長率が予測され、この高い成長率が高値圏にある株価を下支えすると見通していた。
ウエルスアドバイザー