日米ともに金融政策は大きく動かず、米国景気の底堅さを背景にグローバル株式優位の展開続く=ナティクシス
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは5月23日、仏パリからグローバル・マーケット戦略責任者であるマブルック・シェトゥアン(Mabrouk Chetouane)氏(写真)を招き、メディア向けに初めての説明会を開催し、当面のグローバル・マーケットに関する見解を語った。ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、グループに15以上の独立したアクティブ運用会社を擁し、200以上の投資戦略を提供。グループ運用資産は2023年12月31日時点で1兆2886億ドル(約200兆円)という大手の運用会社だ。国内公募投信では、「朝日Nvestグローバルバリュー株オープン」の実質的な運用を担っているハリス・アソシエーツや「ルーミス米国投資適格債券ファンド(毎月決算型)」の実質的な運用者であるルーミス・セイレスなどが、ナティクシスグループの運用会社として知られている。
シェトゥアン氏は、まず、日本経済についてレジリエント(弾力性があり耐性が強い状態)で緩やかに成長しているとして、日本株式市場についてもポジティブな見方をしているとした。特に、PMI(購買担当者景気指数)の中で変動が大きな製造業の輸出が上向いていることを評価し、「経済活動のボラティリティが改善していることを示している。これは、日本のみならず、中国やドイツでも同じような傾向があり、グローバルな貿易活動が安定していることを表している」として、グローバルに株式投資にポジティブな要因の1つとした。マルチアセットでのポートフォリオ構築におけるグローバル株式ポートフォリオではベンチマークで日本株への投資比率が5%のところ、昨年7月以降は9%にオーバーウエイトしている。
また、日本においてインフレ期待が高まっていることも日本の株式市場にはポジティブな要因とした。そして、インフレ期待の強さは金利の上昇につながり、それが、急速に進んだ円安に歯止めをかける役割が期待され、「為替市場は安定的に推移するだろう」と見通している。市場の一部に根強い日銀による「利上げ」は当面は期待できないとした。「日銀は、YCC(イールド・カーブ・コントロ-ル)を解除し、国債の買い入れ額が減額するなど、金融政策の正常化に向けた動きを行ってきている。さらに踏み込んで利上げを実施するのは、時期尚早という考えが強いだろう。少なくとも年末までは利上げに動かないのではないか」とみていた。ただ、実質金利が上昇することによって円安が急速に進行するようなこともなく、為替が比較的安定することによって企業活動にもプラスの影響が出て、これが日本株式市場にも良い影響を与えるだろうとした。