ガールズグループはなぜ日本から“宇宙”へ? f5ve、XGら「平成への憧れ」のその先へ
PerfumeもMVで宇宙へ
宇宙を目指しているのはガールズグループだけではない。Perfumeの最新曲「Cosmic Treat」も宇宙コンセプトの楽曲である。MVの冒頭、司会者のようなキャラクターが彼女たちを「宇宙(そら)から舞い降りた3つの奇跡」と紹介する。まるでRPGの世界に飛び込んだような世界観は、60年代のSFがテーマであり、これまで長年Perfumeに楽曲を提供してきたプロデューサーの中田ヤスタカが、今回のビジュアルイメージやスタイリングを提案。Perfumeといえば、確かに存在はそこにあり、日本をレペゼンするJ-POPでありながらも、どこか異世界的でどの年代や国籍の人をも魅了する音楽性が特徴だ。MVでも宇宙人のようなキャラクターたちと彼女たちのロマンスが描かれるようなシーンが見られたが、Perfumeの存在感はきっとそのように地球外生命体をも虜にするのだろうと思ってならない。 ここ数年でK-POPを中心にトレンドを席巻した、いわゆるY2Kコンセプトは、90年代から2000年代前半のファッションやカルチャーを通じて“平成”という時代への憧れブームを巻き起こした。ファッションもクロップド丈のトップスやミニスカートなど一定のイメージの枠があるのに対して、宇宙コンセプトはそれとは一線を画し、体現するアーティストによってビジュアルディレクションや受け取り方も大きく異なる。それは、我々が依然として謎に包まれた宇宙の全貌を知らないため、解釈の余地が無限に存在するからではないだろうか。そう考えると、ある意味、これら2つのコンセプトは対極にあると言えるのかもしれない。世界中の耳目を集めるコンセプトメイキングが熱狂的なファン獲得の十分条件となっている今、世界観や見せ方を拡張できるうえにグループカラーも反映しやすい宇宙コンセプトはさらなる可能性を秘めている。
風間珠妃