元検事正の一転無罪主張に被害女性検事が「同意」を否定 「絶大な支配者と部下の関係」
酒に酔った部下の女性検事に性的暴行を加えたとして、準強制性交罪で元大阪地検検事正の北川健太郎被告(65)が起訴された事件で、被害を訴える女性検事が11日、記者会見を開いた。初公判で起訴内容をいったん認めた被告側が無罪主張に転じたことを受け、「絶句し泣き崩れた」と述べた。 【写真】北川健太郎被告、初公判で罪認めたのは「検察に迷惑かけたくなかった」 会見の冒頭、女性は「組織のトップから受けた性犯罪被害を訴えることがこれほど恐ろしく、これほどひどく傷つけられ続けることだなんて思いもしなかった」とむせび泣きながら心情を吐露した。 北川被告は10月の初公判で起訴内容を認めて謝罪したが、その後に選任された弁護人は10日、「(被告は)同意があったと思っていた。犯罪の故意がない」と一転して無罪を主張する方針を明らかにした。 女性は当時、地検トップの検事正だった被告との関係を「検察庁の王様。絶大な支配者と部下という関係にあった」と表現。直前の飲酒で酩酊(めいてい)状態だったことなども踏まえ、「(被告が)同意があったと認識するような関係性や状況ではなかった」と強調した。 また会見では、組織内で誹謗(ひぼう)中傷される二次被害を受けたとして、検察庁に調査を申し立てたことも明らかにした。 すでに同僚の女性副検事を「金目当ての虚偽告訴」などと吹聴したとして、名誉毀損(きそん)罪で大阪高検に刑事告訴しているが、これに加え、検察庁に広まった噂が虚偽であることの周知を求めたほか、国会議員らが検察官の適格性を審査する「検察官適格審査会」に副検事の罷免を求める申し立てもしたという。大阪高検は「事実関係を解明するため、必要な捜査を行っている」としている。