台本未着のピンチも「皆さんとなら安心!」 南河内万歳一座の新作上演 9月15日から 兵庫・豊岡
平田オリザさん(劇作家・演出家)のラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』)に、劇団「南河内万歳一座」の俳優・市橋若奈さんが電話出演。演劇をはじめた経緯や、9月15日(日)から豊岡市民プラザで上演される新作劇について語った。 【関連】『豊岡演劇祭2024』いよいよ開幕 エリア拡大で「巡ることを楽しんで」 9月6日から 「演劇をはじめたのは偶然だった」と語る、市橋さん。高校時代、茶道部に入部するつもりだったが休みだったため、隣の演劇部をのぞいたのが運命の出会いとなった。 「入部前に“体験”をすることが決まりだったのですが、演劇部の場合は公演を観たらOK。観たあとは、とんとん拍子に入部が決まってしまいました(笑)」(市橋さん) 後に茶道部にも入部し、演劇部との掛け持ちで高校時代を謳歌したという。 高校卒業後は、働きながら兵庫県立尼崎青少年創造劇場「ピッコロシアター」によるピッコロ演劇学校に通学。同校では平田さんの授業を受けたこともあるそうで、「ほかの先生に比べて優しい方、という印象があります」と当時を振り返った。 2015年、大阪を拠点とする老舗劇団「南河内万歳一座」にオーディションで入団。演劇学校での講義に感銘を受けたことに加え、同劇団のファンである高校時代の演劇部顧問に「あなたはここ(南河内万歳一座)に向いている」と助言されたことも背中を押した。 しかし、1度目に受けたオーディションの結果は不合格。悔しさから翌年も挑戦し、「ようやく入団できました」という。 2018年からは、同劇団の主宰・内藤裕敬がライフワークとしている「豊岡ここものがたり」プロジェクトに参加。地域住民に取材をしながら作品を書きおろすという、地域の人々と作る舞台。兵庫県豊岡市での制作は、今年で14年目になる。 但馬地域における町村合併を題材にした『豊岡かよっ』(2020年初演)は、「地元の本音を反映している」と好評を博し、以降、豊岡演劇祭でも人気の演目となった。 豊岡市民プラザを拠点とする「Platz市民劇団」の人々とは舞台後も交流を深めているそうで、互いの公演を訪れたり、連絡を取り合ったりしているという。 今年の豊岡演劇祭では、9月15日(日)、16日(月・祝)の2日間にわたって、豊岡市民プラザで新作『空き家』が上演される。 業界では“遅筆”として知られる内藤さんだけに、平田さんから「聞きにくいことですが、台本は?」という質問が投げかけられると、「市民劇団の方々には、できている部分だけ届いているようなのですが、(収録時の8月末の段階では)我々劇団員のもとには届いていなくて」と、衝撃の言葉が飛び出した。 そんな状況下にありながらも、市橋さんは「市民劇団の皆さんとは、これまで共に作り上げてきた礎があるからこそ安心して本番を迎えられそう」と語った。 「現在、南河内万歳一座の劇団員は8人。Platz市民劇団はそれより多くて、もう『豊岡万歳一座』といっていいくらい頼もしい。皆さん、年々モチベーションが上がっていて、やる気がみなぎっています」という市橋さんの言葉に、平田さんは「(Platz市民劇団の皆さんは)演劇愛にあふれているよね。どんなふうに仕上がっているか、楽しみにしています」と期待を込めた。 ※ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』2024年9月12日放送回より
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