<映画評>監禁された謎をひも解く『オールド・ボーイ』
土屋ガロンと嶺岸信明による漫画『オールドボーイ』のハリウッド版。韓国でも映画化され、話題を呼んだが、スパイク・リーが新たな解釈を加え、完成させている。20年間、監禁されたジョー・ドーセットはその理由を知るため、わずかな手がかりをヒントに解明していく。 おもしろくて、テンポがよく、エンターテインメント性の詰まった作品。20年間、監禁されたジョーは、その間、徹底的に体を鍛え抜く。強靭な肉体を手にして、解放されたため、誰よりも強く、また容赦しない。主人公が圧倒的に強いので安心して、楽しめる。一方で、監禁されていた時代では、人の弱さをリアルに表現している。独房のような監禁部屋に迷い込んだネズミと接し、家族のように愛し、それを支えに生きようとする姿は、孤独の辛さがにじみ出ている。 とにかくテンポ良くストーリーが展開していくため、停滞する時間はほとんどない。さまざまな伏線は、見事に調理され、次のステージへと導いてくれるので、103分の上映時間はあっという間に過ぎてしまう。なぜ、監禁されたのか、なぜ、ジョーがそうなったのか、復讐とは…。結末が衝撃的すぎて、言葉を失いつつも、そこへたどり着くまでの流れの鮮やかさに、感服する。 賛否あると思うが、90年代に話題となった『クライングゲーム』のような衝撃の連続が詰め込まれていて、それよりもエンターテインメント性が高い作品に仕上がっているのではないだろうか。家族愛についてのメッセージ性も強く、しんみりする場面も。 ■公開情報 『オールド・ボーイ』 監督:スパイク・リー 撮影:ショーン・ボビット 出演:ジョシュ・ブローリン、エリザベス・オルセン 配給:ブロードメディア・スタジオ 劇場:6月28日~ 新宿バルト9他全国ロードショー (C)2013 OB PRODUCTIONS,INC.ALL RIGHTS RESERVED.