攻撃以上に難しさがあった守備。ベトナムの例外的な仕組みに、日本は前からハメに行く枚数が足りず、セットプレーの落とし穴にはまる【アジア杯】
独特の雰囲気で起こりやすい事象
やはり慣れない相手との試合なので、一発で相手のストロングな武器が発揮されると、日本の失点につながることはよくある。このシーンはGK鈴木彩艶による対応も問題ではあったが、スカウティングはあってもピッチ上で戦ってみないと分からない相手、しかも独特の雰囲気で起こりやすい事象でもある。 ただ、評価したいのはそうした難しい状況からでも4得点を奪えたこと。これまでの大会であれば、セットプレーによる南野拓実の先制点から相手に逆転を許した流れで、負けか、良くても勝点2を落とすパターンだった。 それでも守田英正を起点とした攻撃から、遠藤航のラストパスを受けた南野がしっかりと決めて追いつくと、谷口、南野と繋いだボールを中村が美しい軌道のミドルシュートで打ち込み、前半のうちに逆転した。 さらに途中出場の上田綺世が、久保建英のアシストから得点してベトナムを突き放すという流れは、決定力の高さを示した格好だ。ベトナムを完全に攻略したというよりは、苦しみながらもシュート15本中で枠内に飛ばしたのが7本というデータも含めて、決め手を見せつけた試合でもあった。 守備面は、リードして迎えた後半は前からハメるより、ミドルブロックを作って相手を焦らしてミスを狙うという戦い方でしのいだが、戦術的な課題は残った。 アジアと言っても、やはり対戦国によって特徴は異なるし、難しさの意味もまた違ってくるもの。次のイラクは優勝も狙える強豪であるし、インドネシアはACLを制覇したこともある韓国人のシン・テヨン監督がタイトな守備と危険なカウンターを植え付けている。 それでも日本の地力を発揮できれば、首位通過は難易度の高いミッションではない。多くの課題が出ての勝点3というのは、今後に向けて悪いことではないが、後で振り返った時にそう言えるかは、今後の戦い次第と言える。 文●河治良幸
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