東京五輪代表争いへ出揃ったMGCメンバーから浮き彫りになった女子マラソンの弱点
MGC(マラソン・グランド・チャンピオンシップ)シリーズの国内最終戦となる名古屋ウィメンズマラソンは福士加代子(ワコール)の“再挑戦”に注目が集まった。1月の大阪国際女子マラソンは12km過ぎに転倒。まさかの途中棄権に終わった福士だが、中41日の強硬出場でMGC出場権を目指した。 日本人3位までは2時間28分00秒以内、4~6位以内は2時間27分00秒以内でMGCの参加資格を得ることができる。福士は第2集団(2時間24分53秒~2時間25分35秒ペース)で確実に走るのではなく、第1集団(2時間22分46秒~2時間23分28秒ペース)での勝負を選んだ。 すでにMGC出場権を獲得している24歳の岩出玲亜(アンダーアーマー)、初マラソンのベルリン(昨年9月)で2時間25分46秒をマークした23歳の上原美幸(第一生命)もトップ集団でレースを進めた。 日本勢はペースメーカーがいなくなった30km過ぎにトップ集団から引き離されるが、終盤も粘りの走りを見せる。岩出が自己ベストの2時間23分52秒で5位に食い込むと、福士が2時間24分09秒の8位、上原が2時間24分19秒の9位。第2集団でレースを進めた27歳の前田彩里(ダイハツ)、24歳の谷本観月(天満屋)、27歳の池満綾乃(鹿児島銀行)も2時間25~26分台でゴールして、MGCの出場権を獲得した。 レース後のインタビューでは、「やっと取ったわ~、疲れた。お待たせしました。日本人トップにはなれませんでしたが、MGCをつかめて良かったです。MGCで一等賞をとれればいいねえ。頑張ります! 応援ありがとうございました~」と笑顔で答えた福士。38歳で迎える東京五輪に向けて意欲十分だった。 名古屋ウィメンズマラソンで新たに5人が加わったことで、女子のMGCファイナリストは合計14人になった。 すでに資格を得ていたのは、前田穂南(天満屋)、松田瑞生(ダイハツ)、安藤友香(ワコール)、関根花観(日本郵政グループ)、岩出玲亜(アンダーアーマー)、野上恵子(十八銀行)、鈴木亜由子(日本郵政グループ)、小原怜(天満屋)、中野円花(ノーリツ)。 この顔ぶれを見て、女子マラソン界の“弱点”が浮かび上がってきた。このなかで高卒は12人で大卒は2人のみ。しかも鈴木は名古屋大だ(もう1人は前田で佛教大)。駅伝強豪大出身の選手たちがマラソンで結果を残せていないのだ。 参考までに男子のMGCファイナリストは、現時点で30名。高卒は、木滑良(MHPS)、宮脇千博(トヨタ自動車)、岩田勇治(MHPS)の3人で、大卒(現役を含む)は27人いる。女子とは高卒と大卒のバランスが正反対といえる状況なのだ。 男子は箱根駅伝人気もあり、有力選手の8割ほどが大学に進学する。一方の女子はというと、大学と実業団に進むのは半々くらい。それなのに活躍度は高校から実業団に進んだ選手の方が明らかに大きい。