44歳「ジャンボ」大久保哲哉、今季17得点3度目得点王の秘訣は…関東2部昇格戦へ5度目挑戦
「ジャンボ」の愛称で知られ、神奈川県社会人1部・FIFTY CLUBでプレーするFW大久保哲哉(44)が、自身5度目の関東2部昇格戦に挑む。 関東社会人2部昇格戦を兼ねる「関東社会人サッカー大会」が11月2日に開幕する。今季の大久保は18試合17得点と同カテゴリーで3度目の得点王に輝いた。メンバーの大半が入れ替わり、リーグ戦は開幕2連敗からのスタートだったが、神奈川県2位で、同大会進出を決めた。 大久保が同クラブに加入後、19年、21年、22年、23年と昇格戦に挑んだが、過去2大会はPK戦で涙をのみ昇格はかなわなかった。それだけに、5度目の挑戦となる今大会の思いは強い。 初戦は東京国際大(埼玉1位)との対戦(11月2日・神奈川県立スポーツセンター陸上競技場)で、大久保は「去年は0-3から追いついてPK戦に持ち込みましたが、勝ち越し点を取るチャンスがあった中で取り切れなかった。まず初戦。失点しないのはすごく大事だし、後はどこで出力を出して点を取りに行くか」と見据えた。 19年から地域リーグに活動の場を移し、年を重ねても得点力は衰え知らずだ。19年は18試合18得点。今季も5年前とほぼ同じ18試合17得点を挙げ得点王。「44歳でもまだ全然いけるという自信になった」と笑う。 大会2週間前には、走り込みのメニューが続いた。チームメートは10代、20代の選手が大半だが、どんなメニューにも食らい付くのがジャンボの意地とプライドだ。シャトルランのメニューでは68メートルを32本、タイムは少しオーバーしたが、走りきった。 「そこは若い、若くないは関係ない。プロサッカー選手としてベテランになると、けがの予防で、走る距離を減らしたりするケースもある。でも、そこで甘えてしまうと絶対に(体力が)落ちてしまうし。やらなくなるのは絶対にダメなんで。きつくても、しっかりやり切るっていうのは意識するようにしてます。そこは絶対に妥協はしない。チームメートに対しても、やり切る姿勢は見せないといけない」。 練習では手を抜かず、試合で結果を残すからこそ、試合で味方が自分にクロスをあげてくれると考えている。44歳になった今も、練習後の30分、自主練習でシュート練習をするのは日課だ。 今年から、小学生を対象に得点場面に特化したサッカー塾「ジャンボ大久保ストライカースクール」を立ち上げた。技術面をアップデートし、頭で整理する機会が増えたのも得点増につながっているという。 「子供たちを教えることに対して、自分で再確認することもあるし。今年は、背後に一発で抜けて左足で決めたりとか。新しいプレーも増えてきて、年は重ねますけど、経験やフィーリングは年々伸びているという感覚はある」と、まだ自身の伸びしろに手応えを口にする。 今大会は、増嶋竜也監督が率いるSHIBUYA CITY FC(東京都2位)、本田圭佑が発起人のEdo All United(東京都1位)、槙野智章監督が率いる品川CC横浜(神奈川県3位)もトーナメントに名を連ねる。 「元Jリーガーが監督として、このカテゴリーに来てやることで注目もされるし、僕らやってる選手もすごい励みになる。SHIBUYAもEdoも大学を抑えて1、2位になっている。社会人の意地とか、そういうのを見せたいですね」と話す。 FIFTY CLUBの角野隆監督は「東京国際大、早大、流通経大と大学がひしめく大変なブロックですが、我々も走り負けることはないと思っている。選手の経験値もある。地元ですし、サポーターやOBも応援に来てくれる。PKの練習もしていますが、90分で勝ちきるプランを立ててやっていきたい」と意気込む。 大久保も「うちは、そんなに若いチームじゃないすけど、Jリーグ経験者もいますし、経験をしっかり生かせれば。負傷者も戻ってきている。苦しい展開もあるかもしれないけど、自分たちをしっかり出して、角野監督を胴上げしたい」。44歳にしてまだ成長中の大久保が、リーグ戦の勢いそのままにチームを昇格に導く。【岩田千代巳】