【ラグビー】値千金のキックと刈り取りの責任。日野剛志と伊藤平一郎(静岡ブルーレヴズ)、勝利を支える
33歳のPR伊藤平一郎も後半に入ると同時にピッチに入り、存在感を示した。 スクラムで圧力をかけて相手の反則を誘う。試合の主導権を相手に渡さなかった。 先発したヴェーテーからバトンを受け、2人の3番で、80分を制圧する責任を果たした。 伊藤は「前半にショーンがしっかり種を蒔いてくれた。それを刈り取るのが僕の仕事でした」と話した。 前半のメンバーが田植えをして、後半メンバーが収穫する。 押して得たペナルティは、実った稲穂か。それが得点、勝利に結びつけば豊作だ。 若いヴェーテーには練習時からブルーレヴズのスクラムを伝えている。 「一人で組まない。8人全員で力の方向を揃えることが大事です。そこを言い続けてきました」 大型PRは吸収力も大きい。理解は進んでいる。 ブルーレヴズの伝統を守るひとりだ。自分が先輩たちからしてもらったように、普段から気づいたことを口にする。 「チームがポジティブになることは常に口にしています。細かい気づきも」 「こうしないとやられるぞ」と、実際に組んで指摘もする。 雨中の勝利を、「やることを絞れるのでウチは得意です」と表情を崩した。 決してスター選手が多くいるチームではないけれど、一人ひとりが100パーセント、あるいはそれ以上の力を出せば、ビッグネーム揃いのヴェルブリッツも倒せると長い経験から知っている。 「前半の勢いをそのままチームに残すプレーをしよう。特に、期待されているスクラムでしっかりやろうと思っていました」と話す33歳はこの日、オールブラックスのアーロン・スミスらと戦えるのが楽しみだったそうだ。 この日の試合で、チームは3連敗後の2連勝となった(7位)。 この日は雨にもかかわらず5074人のファンが集まった。レギュラーシーズンは残り5試合。盤石のスクラムを組み、一つでも多くの勝利をつかむ。