元社長に禁錮2年 バイオマテック釧路工場火災、地裁判決
2013年7月、釧路市内の健康食品製造会社「バイオマテックジャパン」(現ヘルスマネイジメント釧路支社)の工場で、注意義務を怠り従業員2人を火災で死亡させたとして、業務上過失致死の罪に問われた、同社元社長工藤義昭被告(81)の判決公判が15日、釧路地裁(井草健太裁判長)で開かれ、井草裁判長は禁錮2年(求刑、禁錮2年6カ月)を言い渡した。 判決要旨によると、市新野24の同工場で、サケの軟骨から化粧品などの原料となる「プロテオグリカン」を抽出する際に、引火性の高い化学物質「アセトン」を使用していた。工場内のアセトン処理室では400㍑以上のアセトンを保管し使用していたが、80㍑未満のアセトンを使用する前提で設計されており、電気設備のほとんどは防爆構造となっておらず、汚れたアセトンを気化させ、液体に戻して再生させる設備に静電気を除去する装置が備わっていなかった。この結果、13年7月23日、同室内にたまった大量のアセトン蒸気と空気の混合気体が、電気設備の火花による引火などで爆発し、工場内部がほぼ全焼する爆発火災を起こし、従業員の男性(当時46)とパート従業員の女性(当時35)を焼死させた。 今回の裁判では「工藤被告が注意義務の前提となる予見可能性があったか」「注意義務の順守により事故の回避可能性があったか」「工藤被告の過失と事故発生に因果関係が認められるか」が争点となっていた。 井草裁判長は「田中被告は2006年に同社が設立された当初から代表取締役として、業務全般を指揮していた。工場内に防爆措置を講じることや静電気除去装置を施す必要があったが、注意義務を怠った結果、事故が発生しており、業務上過失致死罪は成立する」と指摘。「被害者遺族に一定の労働災害保険金が支給していることなどを考慮しても、反省の態度がみられない工藤被告の刑事責任は重い」などと量刑の理由を述べた。