「1ページから本を読む」は間違っている…仕事のできる一流が最初に開くページ、次に読むページ
本を効率的に読むにはどうすればいいのか。『トップコンサルタントの「戦略的」勉強法』(翔泳社)を書いた横山信弘さんは「テクニックやノウハウを身に付けたいなら、最初から最後まで読む必要はない。もっと効果的かつ効率的な読書法がある」という――。(第2回) 【この記事の画像を見る】 ■同じテーマの本を10冊並べて、抜き取って読む 私は読書以上に「投資対効果」の高い勉強法はないと思っている。自分のペースでノウハウや知識を自由に手に入れられるからだ。それでは、読書を通じて効果効率的に勉強する方法「水平読書」について解説していきたい。私が長年、本を使って勉強するときに実践している読書法である。まずはその目的について整理しておこう。 そもそも読書にはいろんな目的がある。単に読書習慣を身に付けたいから読む人もいるし、流行っている本だから話のネタがほしいので読む人もいる。だが、今回ご紹介する「水平読書」の目的は明らかにそれらとは異なり、テクニックやノウハウを真剣に身に付けたいときに使う読書法だ。この「水平読書」を覚えたら、もう自己流の読書術には戻れなくなるだろう。 さっそく「水平読書」について簡単に解説していく。「水平読書」とは、同じテーマの本を5~10冊ほど複数並べ、そのテーマの箇所だけ抜き取って読んでいく読書法である。「5~10冊」と聞くと「ギョッ」とする人もいるかもしれない。 しかし、体系的に網羅的に勉強するためには、このやり方が最も効率的だ。それに最新の知識やノウハウでなければ、数年前に出版された本でも問題はない。中古で買えば、そんなに大金を使わなくてもいいはずだ。1冊500円程度(送料込み)で手に入るのなら、5冊で2500円。10冊で5000円である。 研修に参加するよりも、はるかに安いし、本は資産化するのだから割り切って「大人買い」してもらいたい。 ■網羅的な読書で、共通するポイントがわかる 次に「水平読書」の3つの特徴について紹介しよう。 (1) 多視点からの情報収集 水平読書1つ目の特徴は、「多視点からの情報収集」だ。勉強するにしても、まずどの角度で勉強したらいいか、わからないケースが多い。そういうときに「水平読書」は、とても便利だ。同じテーマに関して複数の著者の本を読むため、専門家の多様な視点を得ることができる。 たとえば「ファシリテーション」に関する本を読んだとしよう。異なる著者の本を5~10冊読むことで、ファシリテーションの様々な側面や応用方法を網羅的に知ることができる。 (2) 知識の平均値の理解 水平読書2つ目の特徴は、「知識の平均値」を理解できることだ。ある著者は「ファシリテーションには傾聴が大事だ」と書いた。しかし別の著者が「ファシリテーションには主導権を握らなければならない」と力説していたら、どうだろうか。 知識や経験が足りない人は、「どっちが正解なのだ?」と迷うに違いない。認知バイアスにかからない上でも大事なポイントだ。人間は、自分の都合のいい内容を目にすると、それ以外を受け付けなくなる傾向がある(これを確証バイアスと呼ぶ)。 このようなバイアスにかからないためにも、テーマ全体の「平均的な理解」を得ることだ。水平読書を通じ、複数の著者から共通して見られる考え方やテクニックを知ることができる。そのテーマに対するバランスの取れた理解が促されるのだ。私は株式投資をする際に「水平読書」で様々な投資法を学び、検討することができとても役立った。