女性誌の販売部数日本一! 高齢者を知り抜く『ハルメク』独自のデジタル知見とは? 登録フォームには余計な任意項目を設けないことが鉄則
高齢者はスクロールが得意
得意な操作もある。その一つが画面のスクロールだ。PC、スマホのいずれでもスムーズに操作でき、そのページがどんなに縦長でも、どんどん下へ下へとスクロールし、最後まで見てくれる。 逆に、1つのページをより短くして、クリック(タップ)することによってページが遷移する仕組みは苦手だ。ページが次から次へと遷移すると、迷子になってしまったとネガティブな感情を抱き、離脱してしまう可能性が高まる。 こうした行動から導き出される対策は、情報量が少ないページを複数用意するのではなく、情報量が多くても1ページに集約することだ。極力ページを遷移させずにコンバージョン(サービスの利用開始)まで完了する導線設計を行うとよい。 そして、入力が苦手にもかかわらず、登録フォームはすべての項目を埋めがちな傾向も見られる。一般的に登録フォームは、任意項目と必須項目が混在している場合が多い。それらに対し、高齢者は全部入力しなければならないと考えてしまい、任意項目までも何とか埋めようとする。 すると、入力回数が多くなる分、ミスも発生する。登録ボタンや送信ボタンをいくら押しても、間違いがあるために次の画面で入力エラーの表示が続き、途中で登録を諦めてしまうのが往々にしてあるパターンだ。 したがって、高齢者向けの商品やサービスの登録や申し込みフォームでは、余計な任意項目を設けないことが鉄則となる。全角や半角の自動変換機能によって、そのどちらで入力しても表記が統一され、エラーを発生しにくくする工夫も必要だろう。入力後、その場ですぐに誤りが分かるような表示も、入力ミスが多い高齢者の手助けになる。 写真/shutterstock
---------- 原田曜平(はらだ ようへい) 1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年に退職し、マーケティングアナリストとして活動。芝浦工業大学デザイン工学部教授、信州大学特任教授、レイヤーズ・コンサルティング顧問を務める。03年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』などがある。19年1月より渡辺プロダクションに所属し、フジテレビ「新・週刊フジテレビ批評」、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」、NHK「有吉のお金発見突撃!カネオくん」などに出演。 ----------
原田曜平
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