“オスカーは真っ白”なのか? 批判が噴出する米アカデミー賞の実状は
ハリウッド最大のイベントとして、世界中の映画ファンが注目するアカデミー賞をめぐり、「ノミネートされた俳優陣は白人ばかりで、多様性が見られない」との批判が噴出。有名俳優や監督が次々に授賞式への参加ボイコットを表明する中、アカデミー賞を主宰する映画芸術科学アカデミーは22日、2020年までに女性やマイノリティの会員数を現在よりも倍増させると発表しました。ボイコットの動きが大きく報道される中、アカデミー賞の選考や授与に直接関わるアカデミーのメンバー構成が問題視されています。
黒人監督や俳優が授賞式ボイコット表明
「多様性の欠如」に抗議し、映画監督のスパイク・リーや俳優のウィル・スミス、ジェイダ・ピンケット・スミスがすでにアカデミー賞授賞式に参加しないことを表明。2004年の「ホテル・ルワンダ」でアカデミー主演男優賞にノミネートされたドン・チードルや、イドリス・エルバにデヴィッド・オィエロゥオといったハリウッドで活躍するイギリス出身の黒人俳優も苦言を呈しています。白人俳優のジョージ・クルーニーやマーク・ラファロも、雑誌のインタビューや自身のSNSでアカデミー賞の選考基準に疑問を投げかけています。 リー監督らによるボイコットの動きは、政界にも飛び火。イリノイ州選出のダニー・デービス下院議員(民主党)は、ワシントンの政治メディアの取材に対し、「ボイコットを支持する」とコメント。ボイコットには言及しなかったものの、他に数名の国会議員がアカデミー内部の多様性の欠如を懸念する発言をおこなっています。 ボイコットに対する批判も存在します。今回のアカデミー賞で、主演女優賞にノミネートされたイギリス人俳優のシャーロット・ランプリングは、フランスのラジオ局の取材に対し、「反対に、ボイコットは白人に対する差別にならないのか?」と コメントしています。 アカデミー賞の選考に人種的なバイアスが存在したとは考えにくいという意見が大半ですが、数字を見る限り、アカデミーのメンバーに人種の多様性があまり存在しないのも事実です。アカデミーのメンバーに関しては公表されていない部分が少なくありませんが、ロサンゼルス・タイムズ紙は2012年にアカデミー会員の人種や年齢などに関する特集記事を掲載し、アカデミー賞における投票権を持つアカデミーの会員は5765人で(当時)、全体の94%が白人で、77%が男性であると報じました。黒人会員は約2%で、ヒスパニック系にいたってはそれ以下という構成でした。 メンバーの高齢化も大きな特徴の一つで、平均年齢は62歳。50歳以下の会員は全体のわずか14%にすぎませんでした。アカデミーの主流派となっているのは、高齢の白人男性で、人種・性別・年齢での多様化はあまり見られません。