「サイン盗みを疑われた」「相手の隠し玉を発見」…元南海・湯上谷宏が語るベースコーチの「メチャクチャ重い責任」
「もちろん、コーチャーズボックスの存在は意識しています。経験上、ボックスの外に出てしまうと、審判や相手チームからクレームが来ることも珍しくないです。片足でもボックス内にいれば問題はないですが、完全に外に出ていれば、相手チームや審判から不正を疑われても仕方ありませんからね」 【一覧】プロ野球「最も愛された監督ランキング30」最下位は、まさかの… そう話すのは、1984年のドラフト会議で南海ホークスから2位指名を受け入団、引退後は福岡ソフトバンクホークスの内野守備走塁コーチに就任し、現在は福岡県でセラピストとして働く湯上谷宏氏だ。
コーチャーズボックスの外に出たら「サイン盗み」を疑われた
実際に湯上谷氏は、ボックスの外に出たためにあらぬ疑いをかけられた経験があるという。 「まったくやましいことはしていませんが、プレー中にコーチャーズボックスから出てしまい、サイン盗みを疑われてしまった経験はあります。『試合中の動きが怪しい! 』と、相手チームが審判に文句を言うわけです。 また、試合後に相手チームから審判にクレームが出て、次の試合前に軽く注意をされたり、審判がこちらの動きを確認したりします。私は走者への指示や打球判断、状況判断で精一杯で余裕がなく、サイン盗みをするつもりはさらさらなかったのですが……」 しかし、ボックスの外に出てしまう行為に関しては、ベースコーチ側の事情もあるようだ。 「ランナーコーチャーの仕事はアウトカウントや走者の状態、風の強さやグラウンド状態から野手の守備位置の確認、プロテクターや手袋の受け取り、そしてボールの所在に相手投手の癖に不正投球の確認など本当に多岐にわたります。これらの職務上の理由から、ボックスの外に出るコーチは多いです。 ですが、例えば捕手のサインが見えてしまった時などにコーチャーが何らかの動きをすると疑われてしまいますので、投球動作前にはボックス内で動きを止めます。また、ランナーがいなければ、コーチャーズボックスの後方に立ちます。コーチャーズボックスはフェアゾーン側に仕切りがありますが、反対側にはありませんので、ある程度後方に下がることも可能です。 これは、打球を避けるための予防にもなりますね。なかには選手が空振りした際にバットが飛んできて当たってしまったコーチャーもいましたよ。私は走者と攻撃サインの確認をするためにボックスの外に出た後、相手投手の投球が始まるまでにボックスへ入るように注意はしています」
【関連記事】
- 【前編を読む】「ヤバすぎるほど複雑なことをやっていた...」元中日・英智が解説、プロ野球のベースコーチがコーチャーズボックスの外に出る「深すぎる理由」
- 「札幌ドーム叩き」のほとんどが「的外れ」といえるワケ…「薄い人工芝」「傾斜が急すぎる観客席」が批判されてきたが「そもそも野球のために作られた施設ではない」
- 「村上はなぜ打てなくなったのか」...昨季までの「巨人」と「中日」の1軍コーチによる、“どこよりもリアル”な「セ・リーグ順位予想」
- 「今季の立浪監督は違う」...昨季までの「巨人」と「中日」の1軍コーチが語る各球団の「内情」「展望」
- 80歳にしてファンを魅了した「華麗なバッティング」...稀代のスラッガー・土井正博氏が教える「健康の秘訣」