【中京記念】展開の恩恵見込める“小倉巧者”ニホンピロキーフを推奨 セオ、アルナシームら指数上位馬も評価
小倉大賞典同様、かなりのハイペースも考えられる一戦
京都競馬場の改修工事による変則日程となった2021、22年以来、2年ぶりに小倉芝1800mで行われる中京記念。小倉芝1800mは発走地点から1角までが約272mと短く、2角までは上りが続くため平均よりも遅いペースで決着することが多い。21年は平均ペースで好位の最内を追走したアンドラステが優勝、22年はかなりのスローペースをベレヌスが逃げ切った。 【中京記念2024 推奨馬】1800mは勝率55.5%、複勝率88.8%で超得意! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) しかし今年は、逃げが濃厚の3番枠のセルバーグに対し、逃げなければ持ち味が生かせない1番枠のテーオーシリウスが抵抗する可能性が高い。また、今夏の小倉芝は開幕週から例年よりも時計が掛かっている。セルバーグが主導権を握った今年の小倉大賞典のような、かなりのハイペースが想定されることも併せると、差し馬有利になるのではないか。これを前提にしたうえで予想を組み立てたい。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位 セオ】 3歳春の中山1勝クラスでは後に重賞で2勝するレーベンスティールを下し、3着以下には7馬身以上の差を付けて勝利。ここではかなりの好指数を記録したが、当時は不良馬場で、かなり適性の偏った馬と見ていた。 ところが休養明けとなった昨秋の2勝クラスでは、高速馬場の芝マイル戦を逃げ切り、幅広い適性を持つ馬であることを証明した。その後は芝マイル戦を中心に使われ、前々走では立雲峡S(3勝クラス)を勝利、前走では芝1800mの都大路Sも勝利した。 都大路Sは6番枠からまずまずのスタートを決めてハナを主張したが、内からアウスヴァールが絡んでくると、行かせて2番手の外で折り合った。道中はかなりのスローペースだったが、コントロールしながら2番手の外を維持。3~4角では楽な手応えで加速し、4角では持ったままアウスヴァールにプレッシャーをかけてコーナー出口で先頭に。直線序盤で追われるとすっと伸びて2馬身半差、ラスト1Fで迫るアルナシームを振り切って1馬身1/4差で勝利した。 このレースは超高速馬場かつかなりのスローペースだったが、3着馬には3馬身1/4差と後続にしっかり差を付けており、とても強い内容だった。ここでは自己最高指数を記録。今回は余力の面で不安はあるが、時計の掛かる馬場でも実績がある点は加点材料。重い印を打ちたい馬だ。 【能力値2位 アルナシーム】 デビュー2戦目の東京スポーツ杯2歳Sでは掛かって制御不能となる、衝撃的な大暴走をした馬で、その気性から芝1600mを使われることもあった。ただ、マイルではややスピード不足。これまでの5勝中4勝を芝1800mで挙げており、前々走の都大路S(芝1800m)では自己最高指数を記録している。 都大路Sは4番枠からやや出遅れたが、押して最内から中団まで挽回し、道中は1番人気のダノンティンパニーを見ながら進めた。3~4角でもそのまま我慢し、4角で同馬が外へ行くのを待って最内を狙った。ただ、前のダノンティンパニーの手応えが悪く(この後に競走中止)仕掛けが遅れ、その間に早々と先頭に立ったセオに差を広げられた。直線序盤では2馬身差の2番手。ラスト1Fで差を詰めたが1馬身1/4差までだった。 このレースは前後半4F47秒6-45秒0とかなりのスローペース。後半勝負となったが、ラスト1Fではしっかり差を詰めている。前有利の展開で出遅れたことが致命的ではあったが、折り合いがつくようになってからは後半型の競馬にも対応できている。 15番枠だった前走のエプソムCではセルバーグの逃げでレースが流れたなか、中団の外から3番手まで押し上げたため、最後の直線では伸び切れずに5着に敗れた。それでも3着からはアタマ+アタマ差で悪い内容ではなかった。今回は2番枠。枠の利を生かしてスムーズなレースができれば巻き返せると見る。この馬にも重い印を打ちたい。 【能力値3位 エピファニー】 デビュー3戦目の芝1800mの未勝利戦を勝利すると、そこから連勝街道に入り、芝1800mを4連勝で3勝クラスを突破した。ところが昇級戦のAJCCでは、11番枠からやや出遅れて内と外から二度の接触を受けてエキサイト。3~4角では2列目の中目に入れ、4角で窮屈になって下げるロスや不利も重なり11着大敗。その次走、芝1600mの東風Sも距離がやや短く4着と連敗してしまった。 以降は芝中距離を中心に使われるようになって立ち直り、芝2000mのケフェウスSを勝利。そして前々走の小倉大賞典では、今回出走のロングラン、セルバーグ、アルナシーム、カテドラルらを撃破し、初重賞制覇を達成した。 小倉大賞典は12番枠から五分のスタートを決めたが、二の脚はひと息で中団からの追走。淡々と緩みなく流れるなかで、道中は中団の中目、3~4角では内目を通りながら4角出口で外へ。直線序盤で5番手から徐々に前との差を詰め、ラスト1Fで前がバテたところをしっかり差し切って1馬身差で勝利した。 前後半4F46秒0-47秒9とかなりのハイペースで、展開に恵まれての勝利。前走の大阪杯では前有利の展開を出遅れて後手を踏み、能力を出し切れなかったが、今回は前々走と同じ小倉芝1800mが舞台。同様のハイペースになれば、当然チャンスはある。この馬もセオやアルナシームと甲乙つけがたく、重い印を打ちたい。 【能力値4位タイ ロングラン】 3走前のディセンバーS勝ちや前々走の小倉大賞典2着など、芝1800mでは【3-1-0-3】の実績を持つ。一方、芝2000mでは【0-0-0-5】と極端。芝2000mでは、前走の福島民報杯のようにペースが上がらないことが多かったが、同様のペースだったディセンバーSは出遅れて後方2番手追走になりながらも、4角大外から直線一気で勝利したことからベストは芝1800m。この距離なら様々な展開に対応できそうだ。 さらにいえば、小倉大賞典のような緩みない流れの芝1800m戦が理想だろう。同レースは11番枠からやや出遅れたが、無理をさせずに中団やや後方で進めながら内目に入れ、道中は後方内目を追走。3~4角では中団中目のスペースを拾って4角で外に誘導しながら仕掛けて直線へ。直線序盤で中団列まで上がると、ラスト1Fでグンと伸びて最後は2着争いを半馬身差で制した。 展開に恵まれていながらエピファニーには完敗だったが、その前走で自己最高指数を記録したことによる疲れもあったのだろう。今回も小倉大賞典同様、セルバーグのレースメイクが予想され、再び恵まれる可能性が高い。しかし、休養明けの馬はスタミナに不安があるので、スタミナ比べのレースになると最後に甘さを見せる場合が多い。その点で今回の能力値上位3頭と比較すると見劣る。 【能力値4位タイ アナゴサン】 近走はマイル戦を中心に使われ、逃げ先行策で安定した成績を残している馬。指数面からはここで通用する裏付けがある。小倉芝1800mでは2勝クラスの筑後川特別でヤマニンサルバム(その後の重賞で2勝)を2着に下し、その次走の中山芝1800mのレインボーSではロングランの2着、続く阪神芝2000mのサンタクロースSでもビッグリボン(その後マーメイドS勝ち)の2着実績があり、距離が延びること自体は問題ない。 マイルだとスタートは速くても、二の脚でポジションを取るのに手間取っており、後半の伸びも地味だ。やや追走に苦労しているため、後半で伸び切れずに常に善戦で終わっている節がある。おそらくマイルよりも中距離でこそだろう。 今回距離が長くなるのはいいが、しばらくマイル戦を使われた状態から距離が延びて先行する形となると、やはりスタミナ面に不安が出てくる。2021、22年中京記念のようなスロー~平均ペースなら積極的に狙いたい一頭ではあるが、ハイペースとなると厳しそう。鞍上がどれだけスタミナロスがないように乗れるかがカギとなるだろう。 【能力値4位タイ エルトンバローズ】 昨夏のラジオNIKKEI賞を勝利、休養明けで挑んだ毎日王冠では大接戦を制して4連勝した馬。毎日王冠は6番枠から五分のスタートを決めて、好位の最内を追走。道中は前のエエヤンが外に行ったので、スペースを作って3列目。3~4角で最内から徐々に2列目まで上がり、直線序盤では先頭のウインカーネリアンの直後まで上がるも進路がなくなってしまった。しかし、その外から窮屈な間を割って伸びると、ラスト2Fで先頭列に。ラスト1Fで外から強襲されたがハナ差で制した。 このレースは開幕週の馬場を最短距離で立ち回っての優勝だったが、当時倒した相手は2022、23年安田記念で上位のソングライン、シュネルマイスターで、その価値は高い。続くマイルCSでは毎日王冠で激走した疲れが懸念されたが、先行争い激化で差し追込馬が有利だった流れのなか、上位のナミュールやソウルラッシュよりも前で進めて0.2秒差の4着に善戦した。ここで大崩れしなかったことは、地力強化がうかがえた。 しかし、4歳になってからは不振で、3走前の中山記念で7着、前走の安田記念でも8着と、いずれも出遅れて敗れている。トップスピードがそれほど速くなく、未勝利勝ち以降はメンバー最速の上がり3Fを記録したことがない。先行してこそのタイプだけに出遅れは致命的だ。前走から1F長くなるのは好ましいが、この中間の追い切りを見ても良かったころの迫力がないように感じる。ここは評価を下げたい。