希少疾患「デント病」抱えるDeNA大和 伝えたい「病気があったからここにいる」
末期腎不全となると、生命維持のために人工透析や腎移植を受けなければならなくなる。「こればっかりは体調次第」ではあるが、現在は将来的な腎移植を検討しているという。
病を公表したのは、22年オフの契約更改の時だった。今季でプロ19年目。「同じ病気の人たちに元気を与えられる、ラストスパート」との思いがあった。自身も幼少期、ドキュメンタリー番組で目にした病気やケガを克服した選手の姿に勇気をもらった。
「自分がこうなれれば、『自分にしかなれない自分』がいるというのを想像できたとき、(病気を)プラスに変えることができた。大変な思いもすると思うけど、他の人にはない自分の武器だと思う。そうやってプラスに(思考を)変えられたら、人生を楽しく過ごせるんじゃないかな」
その言葉を、子供たちは真剣な表情で聞いていた。
持ち味でもある打撃での勝負強さは今季まだ発揮しきれていないが、守備では本職の遊撃だけでなく一~三塁まで器用にこなしてチームを支える。気の抜けない毎日の連続でも、「1年でも(プロとして)長くプレーすることで、ここ(病院訪問)に来た意味があるのかな」。いつかの自分を思い浮かべながら、グラウンドに立ち続ける。(川峯千尋)