給食ふりかけ持参で生徒と市議会が対立「食べ残しの問題がふりかけに集約されてしまった」「決め方に危機感を持っている」
食塩相当量が「一番難しい」栄養士の見解は?
2013年に全国学校給食会甲子園で優勝、野菜を通じた食育の授業を実施する、管理栄養士の松丸奨氏は「学校給食法で、栄養士は『学校給食摂取基準』を守って献立を作ってくださいと書かれていて、栄養バランスを突き詰めて献立を作っている」と言及。 『学校給食摂取基準』では、児童・生徒1人当たりのエネルギー、たんぱく質、食塩相当量が定められている。 なかでも中学校では1食=2.5g以下と定められている食塩相当量が「一番難しい」といい、「献立の栄養価は決まっている。0.1g削るのがやっとなのに、ふりかけで塩分が0.3g増えると、あっという間にバランスが崩れる。栄養士としては疑問が残る。ただ、基準をよく見ると児童・生徒の生活や地域の実態に合わせて弾力的に活用するようにとも書かれている。それで教育委員会もOKしたのだろう」との見方を示した。 白米の食べ残しによる栄養バランスの偏りを指摘する声には、「給食には学校間格差がある。皆さんの中にも“自分はちょっと…”という人がいれば、“給食は最高だった”という人もいるだろう。私が携わる学校では、ふりかけがなくても完食できている子が多い。“ウチは無理だからふりかけで”と言うより、まず学校側でやれることを探すことが大事で栄養士も努力をすべき」と述べた。
食品ロスの実態と“食べ残しゼロ”実現した工夫
また、食品ロスの問題もある。環境省などの資料によると、小中高校給食の廃棄量は年間約6万5579トンに達し、児童・生徒1人当たり年間で7.1kgが廃棄されている計算になる。 松丸氏は「教育委員会には“何年何組のサラダが何g、ご飯が何g”など残食のデータも出す。それを栄養計算ソフトに入力した数値が、子どもが摂った栄養となる。理想的な献立ではなく、食べ残しを加味した数値が出るので“ああ全然栄養が摂れていない”とわかる。それも踏まえて反省し、もっと給食をおいしくしなければと改善している」と実態を明かした。 そのうえで「クラスや担任教師の雰囲気でも残食量は変わる。先生がおいしそうに食べていると集団心理でおいしそうに食べるし逆もある。食べ残しだらけで1年間過ごしたクラスと、しっかり食べられているクラスでは成長にも差が出てくると思う」と付け加えた。 塩分の上限など制約が多いなか、献立づくりの現場では“ふりかけ以外”の工夫も。 松丸氏は「子どもにとって“野菜のここが嫌だ”というポイントは全部無くしていく。青臭さを感じにくくするなら、ドレッシングにリンゴや玉ねぎ・にんじんのすりおろしを混ぜる。魚の骨は徹底的に柔らかく煮て出す、切りものも、子どもの口のサイズを考えて切るなどして残食を減らしている。考えられる対策はたくさんある」と述べた。