NZ中銀の利下げ、当局の方針より大幅で急ピッチか-エコノミスト
(ブルームバーグ): ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は景気縮小やインフレ鈍化を踏まえ、従来の方針よりも大幅に利下げし、金融緩和ペースを加速させると投資家や一部のエコノミストは予測している。
緩和サイクルを先月開始したNZ中銀は、政策金利のオフィシャルキャッシュレート(OCR)が現在の5.25%から2026年末ごろには3%で底を打つと予想している。それでも市場の価格データでは、26年半ばまでに当局が2.5%まで引き下げるとの見方が織り込まれており、キャピタル・エコノミクスとキウイバンクのエコノミストはこれに同意している。
キャピタル・エコノミクスのオーストラリア・ニュージーランド担当エコノミスト、アビジット・スリヤ氏(シンガポール在勤)は、「過去の緩和サイクルの開始時を振り返ると、NZ中銀は常に、最終的にどの程度積極的に利下げを行うかについて過小評価してきた」と指摘。「われわれは今回も同じだと考えている」と述べた。
NZ中銀はすでに政策スタンスを急激に変更しており、8月14日には、3カ月前に示した利上げも辞さない姿勢から一転、0.25ポイントの利下げに踏み切った。市場では、長引く高金利で需要が抑制され、中銀がより積極的な政策転換を余儀なくされると予想されている。
来週発表される国内総生産(GDP)統計では、4-6月(第2四半期)の経済縮小が示されると見込まれており、22年後半以来3回目のリセッション(景気後退)入りの瀬戸際に立たされると見られている。
減税
もちろん、7月31日に施行された政府の減税措置は国内消費を下支えし、主要産業である観光産業の回復も経済成長を押し上げる可能性もある。
国内の四大銀行のうち、OCRが3%を下回ると予測しているのはニュージーランド銀行のエコノミストのみ。一方で、ウエストパックは3.75%で底打ちすると予想している。
ただ、インフレ率は予想以上に鈍化し、6月末には3.3%まで低下した。NZ中銀は現在、今四半期に1-3%の目標レンジに戻ると予測している。実際、12日に発表された消費者物価指数の一部構成品目は、8月の年間インフレ率が急減速したことを示唆した。