東京の予算7兆円を1万円に置き換えてみた その使いみちで最も多いのは?
東京都のリーダーを決める都知事選が14日告示され、いよいよ選挙戦が始まりました。取り組まなければならない施策は多々ありますが、都知事の手腕が求められるのはなんと言っても大規模な都の財政運営です。2016年度の一般会計・特別会計・公営企業会計(水道、電車、バスなど)を合わせた都全体の予算規模は13兆6560億円、これはスウェーデンの国家予算と同規模になります。 この5年間で都知事選に170億円の支出 今回は有権者一人当たり446円の負担 そのうち、一般的な行政に係る経費を扱う一般会計予算額は7兆110億円にのぼります。しかし、こちらもあまりに巨額で実感がつかみにくい額です。そこで、この7兆110億円の予算を1万円に置き換え、予算がどのように配分されているか、東京都財務局がまとめた「東京都の財政」をみてみました。すると、最も多いお金の使いみちには、都特有の事情が反映されていました。
福祉と健康のための予算は1664円分 12年連続増
都の一般会計は、一般歳出のほかに、税収の一定割合を区市町村に対して交付する経費、過去の借り入れの返済に充てる公債費などに大きく分けることが出来ます。一般歳出の中で、都民のために最も多く予算が使われているのは、「福祉と健康のために」(福祉・保健分野)です。2005(平成17)年度から12年連続で増加していて、1万円のうちの1664円を見込んでいます(実際の予算額1兆1668億円)。 次は、「教育と文化振興のために」が高く、1592円使うことになっています。以下、警察関係予算などの「身体と財産の安全のために」937円、「中小企業や農林水産業、勤労者のために」697円と続きます。また、都が発行している都債に関する支出として、「都債の償還、支払いに」628円使われます。次いで、消防などの予算になる「火災・災害から守るために」366円、「快適な都市環境のために」312円、都庁舎セキュリティの強化などを含む「その他」は473円となっています。
最も支払額が多いのは特別区との財政調整
そして、この1万円の中で、最も大きい支払額は「特別区との財政調整などに」2079円でした。実は、特別区は、地方交付税上、都と一体の団体となっています。都が地方交付税の不交付団体になっているため、都内のほかの市町村のように交付団体になっていません。そのため、特別区区域の市町村税の一部を都税として徴収し、特別区間で財政調整して配布しています。 これは都が特別区の業務の一部を処理しているため、それらの事務費用を充当することと、税源の差が著しい特別区間の格差を是正する目的で行われている都だけの制度です。 1万円の使いみちからは、都ならではの事情と、さまざまな分野に気配りしながらも、直面する喫緊の課題を優先し、予算配分している様子をうかがい知ることが出来ます。