2024年プロ野球、まさかの珍事&珍ハプニング集 思いもよらぬ「球場内ドライブ」も起きていた!
2024年シーズンの珍プレーや珍事を振り返る年末特別企画。第2回は「まさかの珍事&珍ハプニング」編と銘打ち、筋書きどおりにいかなかった珍事や珍ハプニングを紹介する。 延長10回0/3降雨コールド引き分けという中途半端な幕切れとなったのが、4月16日の阪神VS巨人だ。 1-1の9回裏、雨が降りしきるなか、阪神は二死一塁で木浪聖也が空振り三振に倒れ、延長戦に突入した。 ところが、10回に入る直前に雨が一層激しくなり、上空で雷も光る大荒れの天気となったことから、試合は7分間中断。グラウンドも水浸しとなり、審判団も続行不可能と判断。10回表の巨人の攻撃が行われないまま、コールドゲームになった。ちなみにこの時間帯には、兵庫県南部などでゴルフボール大の雹も確認される異常事態となった。 普通なら9回終了の1-1で引き分けとなるところだが、阪神の投手が桐敷拓馬に交代が告げられ、審判も交代を認めていたことから、10回0/3になったという次第。桐敷には登板数は加算されないが、試合出場数が1試合加えられる珍事に。 10回から9番投手で入る予定だった桐敷は、マウンドに上がる前に土砂降りになっていたので、リリーフカーにも乗っていなかったが、「行くギリギリでした」と複雑な表情だった。 2024年は自己最多の70試合に登板し、3勝1敗40ホールド、防御率1.79を記録して最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得した桐敷だが、出場試合数は1試合多い「71」になった。 翌17日にも“伝統の一戦”が行われた甲子園で珍ハプニングが起きた。 2-0とリードした阪神は7回、先頭の佐藤輝明が二ゴロに倒れたあと、次打者・前川右京に代わって、シェルドン・ノイジーが代打で登場した。 ところが、「ただ今申告敬遠がありましたので……」とアナウンスされたことから、一死無走者で申告敬遠という珍事に、4万2585人のスタンドのファンからも「エーッ!」と驚きの声が上がる。 すると、ウグイス嬢は「失礼しました。前川に代わって代打・ノイジー」と訂正放送。勘違いをしていたようで、ベンチの阪神・岡田彰布監督、巨人・阿部慎之助監督も揃って苦笑いだった。 言い間違いといえば、6月7日の巨人VSオリックスでも、2-0でオリックスが勝利した試合後、8回を2安打無失点で勝利投手になった東晃平がヒーローインタビューに呼ばれた際に、アナウンサーが「放送席、放送席。そしてジャイアンツファンの皆さん」と言い間違えるハプニングがあった。 すぐさま「失礼、バファローズファンの皆さん、ヒーローインタビューです」と言い直したが、オリックスファンは言うに及ばず、巨人ファンからもブーイングとともに「おいおい、間違えてんじゃねえぞ!」のヤジが飛んだ。 ◆ プロ野球チップスのカードが17万円に高騰!? もうひとつは、グラウンド外の出来事になるが、カルビーの「2024プロ野球チップス」第1弾のレギュラーカードで、日本ハムのエース・伊藤大海の身長が「176メートル」(実際は176センチ)と誤表記されていたことが判明。同社では謝罪のうえ、交換を希望する購入者には、送付先まで郵送すれば、後日修正版カードと送料分の切手を返信する対応をとった。 一方、伊藤本人は、先発した4月19日のロッテ戦の試合後、「一瞬でも背の高い夢を見せてくれたので感謝したい」とウイットに富んだコメントで、神対応を見せていたが、この誤表記カードが「メルカリ」で、最高出品額17万円で転売にかけられるなど、騒動の余波が続いた。 同一イニングでリリーフカーに2度乗る珍体験をしたのが、阪神・島本浩也だ。 5月10日のDeNA戦、6回に2本のタイムリーで3-3の同点に追いつかれ、なおも一死一、二塁のピンチに、阪神内野陣がマウンドの石井大智のもとに集まったが、直後、レフトを守っていた井上広大が守備交代を告げられたと勘違いし、三塁側ベンチに向かいはじめた。 だが、岡田監督が笑顔を見せながら「違うわ」と表情で知らせると、井上は足早に守備位置に引き揚げていった。すると、今度は左翼ポール際から島本がリリーフカーに乗ってグラウンドに姿を現した。 ところが、これまた途中で引き返してしまう。次打者の神里和毅に右の代打・蛯名達夫が送られたことから、交代を見送られたのだ。 思いもよらぬ“球場内ドライブ”に、「代打が右だったので、あれ? と思ったんですけど…」とバツが悪そうな島本だったが、蛯名が三振に倒れ、二死一、二塁になったあと、次打者・関根大気の場面で、もう一度リリーフカーに乗ってマウンドへ。5番・井上に代わってピッチャー・島本、9番・石井に代わってシェルドン・ノイジーがレフトに入る変則シフトチェンジ。井上が勘違いしたのもこれだったのかと納得させられた。 「2回目だったのでこれ、恥ずかしかったです」と照れながらも、島本は関根を2球で遊直に打ち取り、スリーアウトチェンジ。7回もクリーンアップを3者凡退に打ち取り、チームの勝利をアシストした。 この日の珍事は、シーズン後の12月1日放映の「サンデーPUSHスポーツ 日米珍プレーSP」(日本テレビ系)でも紹介された。 文=久保田龍雄(くぼた・たつお)
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