独VWが労使交渉開始、工場閉鎖と人員削減計画で-難航の見通し
(ブルームバーグ): 欧州最大の自動車メーカー、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)と労働組合は25日、広範囲にわたるコスト削減計画を巡って交渉を開始した。双方は長らくなかった高い緊張感に包まれている。
交渉の焦点は、ドイツ国内の工場を初めて閉鎖する可能性があるというVWの計画だ。これに先立ち、VWは今月初め、数十年続いていた雇用保障協定を打ち切った。金属産業労組(IGメタル)は計画に反対する姿勢を表明しており、数週間にわたって操業をまひさせるストライキも辞さない構えだ。
同労組で交渉を主導するトルステン・グレーガー氏は「工場閉鎖や大量解雇については、話し合いの余地はない」と述べた。VWが人員削減計画を断行する場合には、「何万人もの同僚が実力を行使して、会社を正しい道に戻すだろう」と強調した。
この交渉は、オリバー・ブルーメ最高経営責任者(CEO)にとって、大きな試練となる。過去には労組と衝突した多くのCEOが失脚した。ブルーメ氏は、販売が低迷し、中国メーカーが欧州市場に攻勢をかける中で、ドイツのコストは高過ぎると警告してきた。VWは電気自動車(EV)で国産ブランドが優位を占めるアジアの主要市場でも、勢いを欠いている。
VWが中国で人員削減に着手、現地スタッフ数百人対象-関係者
初回の交渉が行われるハノーバーでは、集まった数百人の組合員の多くが旗を掲げ、笛を吹き鳴らした。双方の立場には依然として大きな隔たりがあり、IGメタルは工場労働者の7%の賃上げを要求している。労組のリーダーらは、米国でのVWの業績不振を含む経営陣の失態の影響を、従業員が受けるべきではないと主張している。
VWの人員削減は、他の企業よりも実現が難しい。同社の監査役会は労働者代表が半数を占めており、20%の株式を保有するニーダーザクセン州は、労組寄りの姿勢を取ることが多い。
ニーダーザクセン州首相で監査役会メンバーでもあるシュテファン・ワイル氏は、25日に州議会で「VWは今すぐに解決策を必要としている」と述べた。同社の競争力を高めることが、「長期的な経済的成功と、安定した雇用の基盤となる」と呼びかけた。