論理的思考力が高い人ならすぐ解ける。「メンタルローテーション」パズル4問
他者への共感力や自己分析力が向上する
メンタルローテーションは、頭の中で対象を動かすのではなく、対象は固定したままで自分自身が動き回って別の角度から眺める、仮想的な身体運動であることが、実験で確かめられています。 池谷教授は、「対象」は物体である必要はなくて他人でも良いと述べ、能楽論の「離見」を引き合いに次のような解説を加えています。 世阿弥は能楽論『花鏡』の中で、観客の目線で自分の演技を眺める、いわゆる「離見」の大切さを説いています。離見とは、現代風に言い換えれば、メンタルローテーションの応用のことです。 専門用語では、自分の立ち位置から外部を眺める視点を「エゴセントリック」、外部から自分の立ち位置を見る視点を「アロセントリック」と言います。 アロセントリックはメンタルローテーションがあって初めて実現します。 そして、メンタルローテーションの能力から、「相手が物事をどう捉え、どうした行動を取るかを、他人の立場になって相手の心の動きを考える能力を生み出し」、ひいては「気遣い」や「共感」の能力の発展につながるとします。 また、この能力を、自分を対象に使えば、自分の特性を客観的に分析する能力、つまり自己分析力を伸ばすことになるとも。 これには、「私の長所はこれだ」と気づく自己評価力や、「私の短所はこれだ」と反省する自己修復力も含まれます。
メンタルローテーション力をパズルで鍛える
メンタルローテーションは人間が持つ諸能力と相関しますが、メンタルローテーションは後天的に鍛えられ、それらの能力を伸ばすことも期待できるそうです。 実際、過去の研究では、スポーツやテレビゲームなどでメンタルローテーション力がアップすることが確かめられています。 池谷教授は、そうした間接的な方法でなく、もっと直接的にパズルを解くという方法を本書で提示しています。本書に掲載されているパズルは、全128問。 たとえば、以下のような設問がありますので、解いてみてください。 Q1:ピース合わせ お手本の図の中央を切り取りました。「? 」の場所にぴったり当てはまるピースはどれでしょう? Q2:合体ブロック 枠内のブロックと合体させると3×3×3の大きな立方体ができるブロックは、ア~エのうちどれでしょう? ブロックの向きは回転させて変えてもかまいません。 Q3:上から横から ブロックが図のような形で積まれています。矢印の方向(真上・真横)から見た図はそれぞれA~Fのどれでしょう?