KKR、日本でプライベートクレジット参入検討-日本法人の平野社長
平野氏によれば、ノンコア・カーブアウト投資のリターンは成長余力が大きいため、他のプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資よりも高いという。同種の案件でKKRは傘下の物流会社、ロジスティード(旧日立物流)が5月にアルプス物流を公開買い付け(TOB)により買収すると発表したばかりだ。
オルタナティブ強化
KKRは国内の機関投資家や富裕層向けの運用商品提供も強化する。平野氏は「これまで日本企業に対するソリューション提供を進めてきたが、今後は投資家層に運用ソリューションを供給することも非常に重要だ」と語った。政府が掲げる「資産運用立国」の政策で、KKRが果たす役割は非常に大きいと強調した。
個人投資家向けでは、既にSBIホールディングスと合弁で資産運用会社を設立し、オルタナティブ(代替投資)商品の販売を決めているが、さらに運用商品や投資家層を拡大するため他の証券会社などと協議していることを明かした。機関投資家向けでは、KKRが組成するファンドへの資金投入機会を広げていく方針だ。
マレリの反省
KKRが買収し2022年に法的整理に追い込まれた自動車部品大手マレリホールディングスについて、平野氏は「より迅速に危機対応をしていればと大いに反省している」と振り返った。主要供給先だった日産自動車の会長逮捕による新型車投入の大幅遅延、新型コロナウイルスによる工場閉鎖、サプライチェーン寸断という「3羽のブラックスワンの飛来に対応しきれなかった」と悔やんだ。
マレリの負債総額は製造業で過去最大の約1兆2000億円。再建に向けみずほ銀行をはじめとした銀行団は債権カット約4500億円などの金融支援を余儀なくされ、銀行からはKKRに対する批判も出た。「一部の関係者によるネガティブキャンペーンもあり新規案件獲得に苦戦した」と平野氏は明かす。
ただ、その後も旧日立物流を約6700億円で買収するなど大型投資を継続し、「過去に撤退したPEファンドがある中で、なにがなんでも日本で踏ん張るという姿勢を銀行にも理解してもらえたのではないか」と語った。