予備の車両で「新型コロナ専用救急車」市民・職員を守る地方消防の工夫
新型コロナウイルスへの感染が疑われる人を救急搬送する時、救急車の中で隊員への二次感染などを防ぐため、生駒市消防本部(奈良県生駒市)は新型コロナウイルス対応の専用救急車の運用を今月から開始。「コロナ救急車専用隊」も発足準備中だ。奈良県内では別の消防署で救急隊員が感染した事例もあり、関係者は「市民に対する消防力の低下にならないように努めていく」と話している。 【ノーカット映像】<街ぶら>市民の命を守る消防隊員の横顔とは 奈良県・生駒市消防署の一日に密着
予備の救急車を「コロナ専用救急車」に
同消防本部によると、同本部では管内で救急車5台を運用しているが、救急車の「車検」や「修理」の時のために1台予備の救急車も置かれている。今回は、その予備の1台を「新型コロナウイルス専用救急車」とし、今月15日から運用を開始した。
大きなビニールシートが車内全体にはられている
専用救急車の中には「飛沫感染」を防ぐため、大きなビニールシートが車内全体にはられている。また、救急隊員は感染症用の防護服、マスク、そしてゴーグルを着用し、救急活動に向かうこととなっている。 もちろん、シートなどは搬送の度に取り替えられる。搬送の大部分は、転院搬送を想定しているという。
専用救急車で市民と職員の不安をなくす
「市民のみなさん、そして救急隊員たちへの二次感染を防ぐため、専用救急車の運用を始めました。もし市民のみなさんが救急車を利用される場合、二次感染への不安をなくすという思いもあります」と語るのは、同消防本部の川端信一郎次長兼消防署長。 同消防本部は計134人の職員で人口約12万人弱の生駒市民の命を守っているが、こうした専用救急車を運用することで、市民にも安心して救急車を適正利用してほしいという思いがあるという。
これまでも都度、救急車の消毒作業を行ってきた
また、この専用車が運用されるまでは消毒作業が行われていたが、その都度の作業は時間がかかり、新たな救急要請があった際に時間のロスつながる可能性もあった。しかし、専用救急車を運用することで、確実に安心に搬送できるとしている。
4月末には「コロナ救急車専用隊」を発足予定
今後は、さらにスムーズかつ安全に救急搬送を行うため「コロナ救急車専用隊」を発足させるという。 川端次長は「職員に専用隊員募集をかけたところ、約30人が手をあげてくれました。その中で、職員の家族に不安がないかなどを確認する面談を行い、4月末には発足させたい。それと、専用救急車や専属隊を運用しても、通常の消防・救急業務に支障はありませんので」と意気込みをみせる。