リニア期成同盟会総会初参加の鈴木知事「スピード感持って」 早期開業へ期待の声次々、ムード一変し〝団結〟
知事就任直後からリニア中央新幹線を巡る課題の解決に向けて斉藤鉄夫国土交通相やJR東海の丹羽俊介社長と相次いで会談した鈴木康友知事が7日、都内で開かれたリニアの建設促進期成同盟会の総会に初出席し、沿線県の知事に迎えられた。着手が遅れている静岡県内の工事の進展を期待する声が各知事から次々に上がり、川勝平太前知事が出席していた前回までとは雰囲気が一変。鈴木知事は「水資源や自然環境の保全と工事の両立を図り、スピード感を持ってJR東海と対話する」と強調した。 「期成同盟会はリニアの早期全線整備に向けて10都府県が一致団結して働きかけを行っている」。会長の大村秀章愛知県知事は念押しするように会合の趣旨を説明し、鈴木知事を紹介した。黒岩祐治神奈川県知事はJRが品川―名古屋間の2027年開業を断念したことを受け、「(開業の夢が)残念ながらもう少し先となるが、鈴木知事誕生でいよいよ夢に向かって進む」と期待感を示した。 自民党リニア特別委員会の古屋圭司委員長が「みんな今回は心を一つに集まっている。昨年まではややそうじゃなかった」と、ルート変更や部分開業などの主張を展開した川勝前知事を皮肉る場面もあった。 県内区間を巡っては水資源や自然環境への影響、発生土置き場などを巡り県とJRの議論が続いている。鈴木知事は全線開業を目指す立場を強調した上で「水と環境の問題はないがしろにはできない」と強調し、今後のJRとの対話項目などを出席知事に説明した。 鈴木知事は岸田文雄首相への要望活動の後、報道陣に「皆さんと心合わせできた。怒濤(どとう)の1週間だった」と振り返り、「静岡の立場を知事の皆さんに理解していただいている」と手応えを示した。 総会に先立って行われた長崎幸太郎山梨県知事との意見交換では、トンネル掘削工事の前提となるボーリング調査の円滑な推進に向けて連携していくことを確認。長崎知事から提案された山梨県内の工事現場視察を快諾し、「さらに緊密に連携し、いろいろな課題をクリアしていく」と意気込んだ。 ■自民リニア特別委 静岡県知事交代で「新しいフェーズ」 自民党の「超電導リニア鉄道に関する特別委員会」(古屋圭司委員長)は7日、党本部で会合を開き、リニア中央新幹線工事に関して沿線10都府県の知事らの意見を聴取した。鈴木康友知事が初出席した。古屋委員長はあいさつで、川勝平太前知事の退任と鈴木知事就任に触れ、「リニア推進に向けての環境が完全に整った。今日は新しいフェーズに入る象徴的な日だ」と強調した。 岐阜県瑞浪市のリニアトンネル掘削工事現場付近で井戸などの水位が低下した問題で、JRから同県への報告が遅れたことについて、委員は「水だけでなく工事の難航や有害物質などいろんな問題がある。何かあった時にすぐに知事や副知事に情報がいく体制を取ってほしい」と求めた。 JR東海の丹羽俊介社長は「情報共有に至らない点があった。本件に限らず、工事を進める際には、地域や自治体ときめ細かくコミュニケーションを取って真摯(しんし)に対応する」と述べた。
静岡新聞社