前から?後ろから?排便後の「お尻の拭き方」で差が出る! 膀胱炎の“新常識” 医師が調べた結果とは?
結果として、30~60代を中心に男性141人(年齢中央値47歳)、女性153人(同48歳)の計294人が回答した。 ■なぜ拭き方が尿路感染症のリスクに? 調査の結果、女性の68人(44%)、つまり女性の半数近くがトイレ後に、「前から⼿を⼊れて」拭いていることがわかった。残りの84人(55%)は、「背中側から手をまわして」拭いていた。このほか「拭かない」という人が1人いた。 一方、男性で前から手を入れる拭き方をしていた人は32人(23%)で、多くは手を背中側からまわす方法をとっていた。
「前から手を入れる拭き方」が女性に多いことについて、「女性は生理時に陰部を拭くことが多いので、そういう習慣がつきやすいのかもしれません」と赤石さんは分析する。 では、この拭き方のなにが問題なのか。 実は、前から手を入れると、指の動きの関係で後ろから前(肛門から尿道方向)に拭くことになるため、大腸菌などが尿道に入り込みやすいと想像される。 女性の場合、帯下(おりもの)などにも病原体が混ざっていることもあるので、この拭き方が日常的に繰り返されれば、尿路感染症を引き起こすリスクは高まる恐れがある。
実際、特に40~59歳の女性で、この「前から手を入れる拭き方」と尿路感染症との間に、“偶然ではない有意な関連性”が示唆されたという。 ちなみに、この年代の女性に尿路感染症が多いのは、ほかにも理由が考えられると、赤石さん。 一般的に、尿路感染症はトイレを我慢しすぎたり、脱水があったりすることでも発症リスクが上がる。40歳を過ぎると体内の水分量が少なくなるため、水分摂取が足りていないと脱水になりやすく、さらに、若い頃より尿の勢いが弱くなることで、尿道内に侵入した病原体を排出する能力も低下して、リスクが高まる。
では、尿路感染症を防ぐためには、トイレの後、どう拭いたらいいのだろうか。 「前から後ろに向けて拭くのがベスト。背中側から手をまわせば、そのように拭きやすいです」(赤石さん) 一度身に付いた動作を直すのは大変かもしれない。ただし、これまでたびたび尿路感染症を経験している女性や、発症リスクの上昇が懸念される中年期女性は、この拭き方に改めることで、感染リスクを軽減できる可能性がある。 ■温水洗浄便座の使い方と感染リスク