アウシュビッツ収容所を直接描くことなく、戦争の、ナチスの残虐さが見える映画 『関心領域』
ルドルフ・ヘスには、クリスティアン・フリーデル。妻ヘートヴィヒ役は、『落下の解剖学』でも話題をさらったザンドラ・ヒュラー。2人の演技が物語の重要性を明らかにしてくれます。 壁を隔てて収容所の隣で、こんな生活をしていた家族が本当に存在していたなんて。
こんな戦争映画を今まで見たことがありません。なんという手法でしょう。 アウシュビッツ収容所を直接描くことなく、塀を隔てた所に住む裕福な家族の平和の中に、確かに戦争の……ナチスの残虐さが見えるのです。 音が、ずっと怖いんです。常にゴーっと稼働しているガス室の音、容赦ない怒鳴り声、銃声、悲鳴、列車の音、けたたましい犬の鳴き声……見えないけれど、そこにある事実を音が証明しているのです。
シンシンと降り積もる雪のように心に積もっていく恐怖。どんなホラー映画より怖いかもしれません。アウシュビッツ強制収容所と壁一枚隔てた屋敷に住む収容所の所長とその家族の暮らしは、あなたに何をもたらすのでしょうか?
『関心領域』 5月24日(金)より新宿ピカデリー、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開 監督・脚本:ジョナサン・グレイザー 原作:マーティン・エイミス「関心領域」(早川書房刊) 撮影監督:ウカシュ・ジャル 音楽:ミカ・レヴィ 出演:クリスティアン・フリーデル、ザンドラ・ヒュラー 配給:ハピネットファントム・スタジオ 原題:The Zone of Interest|2023年|アメリカ・イギリス・ポーランド映画| 公式サイト:https://happinet-phantom.com/thezoneofinterest/ (C)Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. All Rights Reserved.