銀行株が反発、利上げに慎重な高市氏でなく「石破総理」誕生で
(ブルームバーグ): みずほフィナンシャルグループ(FG)、三井住友フィナンシャルグループ(FG)など大手銀行株が高い。27日の自民党の総裁選で、事前予想で選出が有力視され、早期利上げに反対姿勢を示していた高市早苗氏でなく、石破茂氏が選出されたことで、利上げへの期待感などから反動高となっている。
30日の取引では、みずほFGが一時前週末比5.5%高、三井住友FG株が同4.4%高、三菱UFJフィナンシャル・グループ株が同3.2%高。下落するTOPIXに逆行している。鳥取銀行やめぶきフィナンシャルグループなど地方銀行株にも高い銘柄が目立ち、TOPIX銀行業指数は業種別指数の中で唯一高い。
SMBC日興証券の村木正雄シニアアナリストは、27日付のリポートで、石破氏が総裁選で勝利したことで「利上げ確率は急上昇した」と指摘。同氏について「金融・財政緩和に批判的」として、日本銀行が利上げを促される展開も考えられると記した。
大和証券の坪井裕豪チーフストラテジストは、地銀株が買われている背景について「地方創生的な政策を期待する面もあるのではないか」と分析。当初、金融所得課税の増税路線や金融タカ派的な発言が多かったものの、総選挙を控え、当面は金融市場から嫌気されるような政策は「後回しにせざる得ないのではないか」とも述べた。
利上げ期待で銀行株などが上昇する一方、住宅ローン金利の上昇によって需要へのマイナス影響が懸念される不動産株はほぼ全面安の展開。住友不動産や三井不動産、三菱地所がそれぞれ一時9%を超える水準にまで下落した。東京建物も同8.7%安と下落し、TOPIX不動産業指数は一時前週末比6.8%安を付け、業種別指数の中で下げ幅が最も大きくなっている。
--取材協力:横山桃花.
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Kazu Hirano