記者リポート「巨大地震注意」高知の“備え”
8日に発生した日向灘を震源とする地震をうけ初めて発表された南海トラフ地震の臨時情報「巨大地震注意」。 県内でも呉市や府中町などで最大震度3を観測。県では職員を24時間常駐させるなど警戒感が強まった1週間となりました。 広島県民「災害があったときにどうやって連絡をとるかとか1週間分ぐらいの食事を置いたりとか話をした」「今まで1つの防災リュックだったが一人ずつに」「おむつを数枚、携帯用の非常トイレ、水、タオル、懐中電灯、電池、モバイルバッテリー…」 一方で他の県ではどんな備えが進んでいるのか。南海トラフ地震で甚大な被害が想定される高知県の今を取材しました。 矢田息吹記者「あ、ありますね。海沿いには津波避難タワーが見えます。右手側にも同じようにタワーがありますね。数百m走っただけで5つほどのタワーがありました」 広島市から車で約4時間の高知県香南市。 東日本大震災以降、沿岸部のいたるところに「津波避難タワー」が建設されました。 日向灘を震源とする地震をうけ“特別な注意の呼びかけ”が行われた高知県では、南海トラフ巨大地震が発生すると最大34・4mの津波が襲うと想定されています。 高知県の南東部に位置する室戸市ではタワーを建設する場所がなく、山肌に日本唯一の「あるもの」が建てられました。 矢田息吹記者「扉をあけると奥にはおよそ30mの空間が広がっています」 8年前に約3億5000万円をかけて建設された「津波避難シェルター」。中には70人ほどが避難することができ、2日分の水や食料、布団などが備蓄されています。 シェルターにはもう一つ、重要な機能が。 室戸市 藤本 大さん「「(カメラが)動いて真下まで見えるのと海の状況でしたり周りの状況が見える」 最大1.6mの浸水が予想される高知市の海沿いにある高齢者施設では大きな地震の際に建物の上の階へ逃げる「垂直避難」を計画しています。 矢田息吹記者「こちらの高齢者施設では有事に備えて避難器具をすぐ手に取れる位置に用意しています」 南海トラフ地震の臨時情報発表をうけて、足の不自由な高齢者でも避難できるようにと階段のすぐそばに用意されたこのストレッチャー。階段を引きずりながら持ち上げることができるため、何度も往復することになる職員にとって負担が少ないといいます。 社会福祉法人 海の里 難波 自施設長「(前の避難器具は)数人で持ち上げないといけない。上の階へ運んだら疲れ切ってしまって、次の避難ができない。繰り返し訓練している中で課題が出てきたので一旦これでやってみようと」 約180人が利用するこの施設。利用者全員を安全に避難させるのには課題も残されています。 社会福祉法人 海の里 難波 自施設長「日中は働いている職員が70人ほどいるが、夜間は合計5人で利用者の避難誘導にあたるところが果たして命を守れるか不安」 今後は定期的に利用者を交えた避難訓練を実施し、より短い時間で避難できる方法を模索したいとしています。