宮崎駿監督『君たちはどう生きるか』 アニー賞でストーリーボード賞とキャラクターアニメーション賞を受賞
アニメ界のアカデミー賞とも呼ばれるアニー賞の授賞式が17日、アメリカ・ロサンゼルスで行われ、宮崎駿監督の映画『君たちはどう生きるか』が、ストーリーボード賞とキャラクターアニメーション賞を受賞しました。 アニー賞で7部門にノミネートされていた『君たちはどう生きるか』は、最も注目された作品賞は逃したものの、ストーリーボード賞とキャラクターアニメーション賞を受賞しました。 授賞式に出席した作画監督の本田雄さんは、キャラクターアニメーション賞の受賞に際し、「かれこれこの作品に7年かかりました。宮崎監督は3年くらいで作り終えて、自分の人生の幕にすると考えていたと思います。隣同士で机を並べて仕事していたとき、監督はよく“仰げば尊し”を歌っていた。すごく夕焼けがきれいですよ、屋上に見に行きましょう、などと言って残りの人生を楽しんでいる感じだった。事もあろうに7年もかかってしまった。宮崎監督もまだ生きている。監督の人生の予定が狂ってしまいました。監督は退屈しているので、次の作品に取りかかってくれると信じています。その時は力になりたいと思っています」とあいさつしました。 スタジオジブリの西岡純一執行役員はストーリーボード賞の受賞に際し、「宮崎の代わりにスタジオを代表して受け取ります。監督は高齢で長旅が辛いので代わりにきた。宮崎のストーリーボードが評価されたのはうれしい。私は宮崎がストーリーボードに世界で1番情熱を傾けている監督だと思っている。宮崎は実はシナリオを書かない。いきなりストーリーボードを描く。こんな作家は世界中にいないと思う。頭の中の映像を紙に写し取ることを1年かけてやる。制作段階に入って、現場の監督をやりながらストーリーボードを描き続けることを50年やってきた。宮崎の名言を紹介します、『絵コンテを描く人間が監督だ』」などとあいさつしました。 『君たちはどう生きるか』は、ゴールデングローブ賞で日本作品として初めてアニメ映画賞を受賞、来月10日に行われるアカデミー賞でも長編アニメ映画賞にノミネートされていて、受賞に期待がかかります。 また、スタジオジブリ作品の音楽を数多く手掛けてきた久石譲さんには、アニメーション界に顕著な貢献をした個人に与えられる『ウィンザー・マッケイ賞』が贈られました。 一方、新海誠監督の映画『すずめの戸締まり』は、作品賞や脚本賞など7部門にノミネートされましたが、いずれも受賞を逃しています。 作品賞は、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』が受賞しました。