あなたの「妬み度」を科学的に採点! 人間はなぜ嫉妬するのか?
仕事でも恋愛でも私たちを悩ませる「嫉妬」。最近はSNSを見るだけでも嫉妬を感じる人も増えてきているようだ。嫉妬しやすい人とそうでない人の違いは何なのか? 世界の論文に精通する脳科学者・西剛志が、 科学的な観点から「嫉妬のメカニズム」について探る。
世の中には2つの嫉妬がある
「なんであの人だけが評価されるの!?」、「あいつは絶対に許せない!」私たちは人と比べてよく嫉妬を感じることがあります。 「嫉妬」という言葉は古くは聖書にも七大罪悪の1つとして記され、仏教でも嫉(しつ)という煩悩の1つです。数千年も遥か昔から、私たちを悩ませてきた元凶の1つと言えるでしょう。 そもそも、「嫉妬」とは何なのでしょうか? 世の中ではあまり知られていませんが、科学的には2種類の嫉妬が存在します。 それが、1.「妬み」(envy)と、2.「ジェラシー」(jealousy)です。 「妬み」(envy)は他人が持っているものをほしいときに感じる感情で、例えば、自分よりも仕事の成果をあげたり、リッチな暮らしをしている人を見たときに生まれます。 一方で「ジェラシー」は自分が持っているものを奪われる(かもしれない)ときに感じる感情です。不倫されると交際相手に感じる気持ちがまさにこれです。
動物だってジェラシーを感じる!
「ジェラシー」は人間だけでなく、動物も感じる普遍的な感情のようです。一番身近で分かりやすいのは犬でしょうか。 たとえば、散歩中に飼い主が他の犬と触れ合うと、不快感で威嚇する犬がいます(*1)。さらには、人工的な偽物の犬のぬいぐるみにすら嫉妬するそうです(*2)。また動物園でも新しい同種の動物を迎え入れると、群れの中でジェラシーのような反応が起きるといいます(*3)。ジェラシーは進化の中でも、大切なパートナーを取られてしまうことを防ぐための大切な感情で、持っているのは生命としては当たり前だと考えられています。 一方で、「妬み」(envy)は人間特有の個人差の大きい感情であらゆる悩みを生み出します。人によっては統合失調症にもつながるようです(*4)。