〈ヤクザの“出所メシ”の実態〉レストランでのお祝いは禁止、親分の家で必ず豆腐が出てくるワケ「何が一番うまかったですか?」と幹部に聞くと意外な食べものが…
「今はレストランで出所祝いができない」
古参幹部が3度目に地方の刑務所を出所したときは、「前の組を辞めていたのでカタギだった」という。 迎えに来たのはヤクザ時代からの友人だ。刑務所から車で少し走ると、「○○高原という牧場があって、レストランもあったので、そこに入ってステーキを食べたな」という。 味はどうだったかと聞くと「うまかったと思う」。何度も服役していると「特に何が食べたいというのはなかったが、外で食べるものは何を食べてもおいしいよ。でも、そんなに食べられないな。やっぱり出所できて胸がいっぱいになるのかな」ということらしい。 事件を起こしたときは暴力団員だったという別の男性は「出た後、駅近くにある街の蕎麦屋に入って、ビールを飲んだ。あのビールのなんとうまかったこと」と話す。お酒が好きな者なら、まずはアルコールなのだ。 だがこれが組員になると、話が変わる。「ヤクザは迎えに来る人がいるので、自分で何が食べたいではない。刑務所から出てきたら、まずは事務所か親分の所に挨拶に向かう。出所したままの格好で挨拶には行けないので、『これを着てくれ』と洋服はその場で差入れされる。それに着替えて挨拶に行く。自宅が近くても立ち寄って着替えるだけ」と前出の幹部はいう。 関西で活動する某暴力団の三次団体の組長は、子分が出所する際に「何度も迎えに行ったことがある」と話す。 「子分に何を食べたいとか、言われたことはないな。刑務所の前まで迎えに行き、そのまま移動して、まずは親分の所に挨拶に行く。以前ならその後、料亭やレストランで出所を祝ったが、今は人数制限があるのでレストランには行けない」 組長のいう親分とは上部団体に当たる二次団体の組長だ。特定抗争指定暴力団に指定された組長の組織では、大阪市や神戸市、名古屋市などの警戒区域で「組員がおおむね5人以上集合すれば即逮捕」となるため、行動に気をつけている。 「馴染みの店に仕出し弁当を頼むか、百貨店などでちょっと高くてうまそうなお重みたいのを買ってきて食べるか」というが、ヤクザの関係者には飲食業を営んでいる者もいる。 「ある子分が出所してきたときは、舎弟がやっている店でみんなで鍋を囲んだ。仲間と一緒に気兼ねなく食べるものは何でもうまい」というが、場所はもちろん警戒区域の外だ。