「気づきあれば立ち止まる」 島根2号機再稼働、中国電社長が地元に
中国電力の中川賢剛社長が10日、松江市の同社島根支社で会見を開き、7日に再稼働した島根原発2号機(同市)について、「気付きがあれば立ち止まり、慎重に安全の確保を図る」と述べ、引き続き安全性の向上に取り組む考えを強調した。 中川社長は2号機の再稼働を、広島市の本社の危機管理室でモニターを通じて確認したという。「2号機で発電した電気を再びお届けすることは、環境負荷の少ない低廉な電気を安定して供給するという使命を果たす上で重要な意味を持つ」と言及。原発に不安を抱く人がいることにも触れ、「再稼働を発電所運営の新たな起点と受け止め、引き続き安全性の向上に不断に取り組む」と述べた。 再稼働まで約13年かかったことについては「発電所の安全性を確保する上では必要な期間ではなかったかと考えている」。また、原発は化石燃料の価格変動の影響を受けにくく、電気料金の安定化を図れるほか、カーボンニュートラル(温室効果ガスの実質排出ゼロ)の実現に貢献すると強調した。 一方、山口県上関町で計画する使用済み核燃料の中間貯蔵施設の建設の見通しについては、「適地かどうか、どれくらいの設備をつくるかは、これから検討する段階」とした。 中川社長は会見後、丸山達也知事と上定昭仁・松江市長に面会し、再稼働や今後のスケジュールを報告。丸山知事は「問題があればいったん立ち止まって安全を確認して進めることを徹底してほしい」、上定市長は「工程ありきではなく、その場その場の状況に応じて対処していただきたい」と注文した。三村秀行・島根原子力本部長もこの日、鳥取県庁を訪れ、水中進一・危機管理部長に再稼働を報告した。(垣花昌弘) 中川社長の会見での主なやりとりは次の通り。 ――島根原発2号機の営業運転にどう取り組むのか 試運転を進める中で何かあったら立ち止まり、工程ありきではなく、安全を第一に進めていく。 ――家庭用の電気料金は、中長期的に下がる見通しはあるのか 島根原子力発電所は化石燃料の価格の乱高下に対して影響を受けにくい。電気料金の安定化という面で大きなメリットがある。現状では、業績悪化により毀損(きそん)した財務基盤の回復を優先していきたい。財務状況、競争環境などを総合的に勘案しながら料金の検討を引き続き行っていく。 ――山口県上関町での中間貯蔵施設建設の可否判断はいつごろにするのか 現在、立地の可能性について地質調査を進めている。適地かどうか、どれくらいの施設を造るかはこれから検討していく段階で、現時点で決まったものはない。 ――使用済み核燃料の中間貯蔵施設を島根県内に造る予定はあるか 現時点では燃料プールに余裕があり、島根に現時点で造る計画はない。 ――2号機でのプルサーマル発電について地元への説明は 発電の実施時期や説明時期について決まっていない。今後の進め方については、改めて関係自治体の考えを踏まえつつ、丁寧に説明し、意向を踏まえながら対応を決めたい。 ――2号機は運転開始からまもなく36年。40年超の運転を考えているのか。 長期運転に向けた劣化状態の管理が必要になってくる。40年を超えて運転するかどうか現時点で決めていない。(堀田浩一)
朝日新聞社