タイでの出演依頼、実は特殊詐欺の訓練 人身売買の被害にあった中国人俳優を保護
タイ当局は7日、同国北部で先週行方不明になった中国人俳優の男性がミャンマーで発見され、無事保護されたと発表した。当局は、男性が人身売買の被害者だった可能性があるとの見方を示した。 中国人俳優の王星さん(22)は、タイ北部のターク県で行方不明になったと伝えられた。この地域は大規模な組織犯罪や、犯罪集団による人身売買が横行していることで知られている。 タイ国家警察の発表によると王さんは出演依頼を受けてタイを訪れたが、実際には中国人に対する特殊詐欺の訓練を受けさせられたという。 タイ国家警察 「被害者はSNSを使って中国人と連絡を取っていた。SNSにはタイの実在する大手メディア企業と、中国人の担当者名が書かれていたが、担当者名は偽名かもしれない。王さんはその人物が、タイ人とのオーディションに連れて行くと思っていた」 国家警察によると王さんは暴行や虐待は受けておらず、現在はタイ国内で当局の保護を受けている。この事件は中国のSNSで広く拡散し、観光業を主要産業とするタイ国内で風評被害への懸念が高まっている。 国連によると東南アジア、とりわけタイ・ミャンマー・ラオスの国境の町は通信やネットを使った特殊詐欺の拠点となっており、人身売買により連れてこられた何十万人もの人々が詐欺グループによって働かされているという。