元宝塚トップ娘役・朝月希和「背筋が伸びました」卒業伝えた際の相手役・彩風咲奈の言葉――頼れる同期・和希そらへの思いも
■思い出の「100tハンマー」
――深掘りしたい1本は『CITY HUNTER』です。トップ娘役に就任して初めての大劇場公演で、主人公・冴羽獠のパートナー槇村香を演じました。この作品は朝月さんにとってどんな作品ですか? 大劇場のお披露目公演でしたので、自分の中でも大切でとても印象的な作品です。アニメと漫画が原作ですから、立体的に(舞台に)飛び出してきた時に、いかにそのままキャラクターが動いてそこに存在しているようになるか、ということを大切に作っていました。 香はずっとボーイッシュな格好をしていて、でも内面はすごく女性らしい。それが槇村香の魅力かなと思っていました。言葉遣いも男性っぽい。でもその中に優しさとかちょっと獠への思いや乙女心があるのが垣間見えて、そういうギャップを大切にして役作りを深めていきました。 「100tハンマー」をやっぱり思い切り振り下ろすというのは勇気がいることでしたので、お客様が見るシルエットを大切に、アニメとか漫画をしっかり見て忠実に再現したいなと思い、鏡で何回も見ながら練習していました。 ――100tハンマーはサヨナラショーでも登場しましたが、ご自身の中で思い出に残るものですか。 例えば『CITY HUNTER』が今後もし再演された時に、この100tハンマーを振る娘役さんがもっと皆さんに愛されてほしいという思いがとてもありました。私が自分の卒業の最後に振ることで、このハンマーの良さが伝わったらいいなと。あとは明るく楽しく、最後に皆さんに感謝とお別れをお伝えしたかったので。 この100tハンマーを振る時の雪組の皆さんがとてもあたたかくて、リアクションをとってくださって、温かい演出をしてくださったことに本当に感謝しています。 ――その中には同期の和希そらさんの姿もありました。 ずっと違う組で、同じ組になったのは1年ぐらいでした。でも1年しかいなかったんだと驚くぐらい、あっという間に馴染んでいて。私はしおりと呼んでいるんですけれども、しおりにはたくさん甘えたり、たくさん色々なことを教えてくれたりして。稽古場でも私が1人でぐるぐる考えてしまってそこから抜け出せない時に、すぐに察して「あそこをこうしてみたら?」と言ってくれて、なるほどとひらめきに変わったことも。本当に一番身近にいる先生みたいな存在でした。 最後の階段降りの時に緊張していたんですけれども、しおりの一言でちょっと笑ってしまうようなリラックスをさせてくれたりとか。ちょっとやんちゃなイメージがありましたが、宙組で培ってきたものがすごいんだなというのを組替えしてきた時に感じました。本当に尊敬する同期ですね。