トヨタ「クラウン」最上級モデル“マジェスタ”が434万円~登場した9代目がコチラ!【今日は何の日?10月11日】
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日は、9代目「クラウン」が誕生した日だ。9代目は、4ドアハードトップのみ全面改良し、「ロイヤルシリーズ」と上級モデル「クラウンマジェスタ」の2モデル体制となった。マジェスタは、クラウンとセルシオの間を埋めるクラウンの最高峰モデルと位置付けられた。 TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・新型クラウンのすべて、歴代クラウンのすべて ■9代目は全車3ナンバーの4ドアハードトップ トヨタ・9代目クラウンの詳しい記事を見る 1991(平成3)年10月11日、トヨタの9代目「クラウン」が発表(発売は10月28日)された。9代目は、全車3ナンバーボディとなって標準グレードは「ロイヤルシリーズ」とし、上級グレードは独立モデルとして「マジェスタ」を名乗った。 クラウン誕生と8代目までの軌跡 初代クラウン「トヨペットクラウン」は、1955年に完全オリジナルの純国産車として誕生した。当時は、国産車と言っても名ばかりで、外国製部品と技術を使って組み立てるだけのクルマで、クラウンは世界に通用する上質感と信頼性にこだわった日本自動車史に大きな役割を果たした乗用車だった。 2代目(1962年~)は、ヨーロピアンスタイルに変わり、国産乗用車初のV型8気筒エンジンを搭載した「クラウンエイト」がデビュー。3代目(1967年~)は、静粛性や乗り心地を改良し、公用車だけでなく高級自家用車を意識したクルマに、4代目(1971年~)は“クジラ”と呼ばれた個性的すぎるスタイルが不評で、3年の短命で終了した。 5代目(1974年~)は、重厚さと安定感を強調したスタイルに回帰。6代目(1979年~)は、厳しい排出ガス規制をクリアしながら、クラウン初の直列6気筒ターボエンジン搭載。7代目(1983年~)は、機能を充実させて“いつかは、クラウン”という名キャッチコピーとともに衝撃のデビューを飾った。 そして、バブル絶頂期に登場した8代目(1987年~)は、贅沢装備と最新技術を採用し、歴代クラウンで最も販売台数を伸ばした。 ハードトップで新鮮さをアピールしたロイヤル 1991年のこの日デビューした9代目クラウンのキャッチコピーは、“すべてはクラウン”。メインとなる4ドアハードトップの「ロイヤルシリーズ」は、全車3ナンバーとなった。 スタイリングは、伝統的な角ばったフォルムではなく、丸みを帯びた流線形のフォルムを採用し、先代に対して全長が縮小されたが、全幅と全高は拡大。エンジンは、最高出力180psの2.5L&230psの3.0L直 DOHCおよび100psの2.4L直4ディーゼルターボの3種類と、4速/5速ATの組み合わせが用意された。 足回りは、フロントがダブルウィッシュボーン、リアがセミトレーリングアーム式の4輪独輪懸架、4輪ABSやTRC(トラクションコントロール)、SRSエアバッグなど高級車らしい先進技術が装備され、車両価格は4ドアハードトップが280万~442万円に設定。当時の大卒の初任給は、17.5万円(現在は約23万円)程度なので、単純計算では現在の価値で約368万~581万円に相当する。 欧州車を意識したワールドクラスのマジェスタ クラウンには、先代からワイドボディのトップグレードのロイヤルサルーンが設定されていたが、9代目でそれを一新するかたちで独立モデルとしてマジェスタが設定された。 マジェスタは、ロイヤルよりもホイールベースを100mm長くした上で、車幅を50mm拡げ、車高を20mm低くして、欧州車に負けない堂々とした高級サルーンに仕上げられた。特徴的なのは、ロイヤルは伝統的なフレーム構造だったが、マジェスタは軽量で強靭なモノコック構造のボディを採用したこと。そのため大型化したにもかかわらず、車重はロイヤルと同等だった。 マジェスタに搭載されたエンジンは、セルシオと同じ最高出力260ps/最大トルク36.0kgmを発揮する4.0L V8 DOHCエンジン、その他は230psの3.0L直6 DOHCを搭載し、ワールドクラスの走りと静粛性が楽しめた。 マジェスタの車両価格は、434万~598万円。これは、現在の価値で570万~786万円と、かなり高額である。9代目クラウンのロイヤルシリーズは、バブル崩壊の影響を受けて厳しい販売を強いられたが、マジェスタは比較的好調に滑り出した。 ・・・・・・・・ バブルの勢いで7代目と8代目クラウンが販売を伸ばした一方で、9代目はバブル崩壊の憂き目にあってしまった。さらに全体に丸みを帯びたフォルムにすることで、従来の威厳のあるクラウンの高級感が消失されたことも伸び悩んだ一因ではないだろうか、1995年に登場した10代目は角ばったフォルムに戻し人気を回復したのだ。 毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
竹村 純