大阪城にドローン出現「六番櫓」を撮影する実験成功
大阪城にドローン出現「六番櫓」を撮影する実験成功 撮影:岡村雅之
大阪市中央区の大阪城公園で5日、産業用ドローン(無人飛行機)を使った撮影実証実験が行われた。大小2機のドローンが、水をたたえたお堀の上から六番櫓(ろくばんやぐら)に迫って撮影し、撮影能力の高さを実証した。実験を企画した関係者は「これからは橋梁の定期点検などにドローンを活用したい」と意気込んでいた。 【拡大写真と動画】関西初のドローン操縦者養成スクール開校 デモ飛行も
ドローン活用のための実証実験
江戸期、天下無双の威容で難攻不落とうたわれた名城の防衛施設に、保守管理のため最新鋭ドローンが上空から肉薄した。撮影の実証実験は、大阪市と大阪商工会議所が先進的なまちづくりを推進するために締結した実証事業都市・大阪提携の一環。官民連携で新たな成長産業を育てるチャンスを作り、大阪のまちづくりに生かしていくものだ。 撮影の対象となったのは、重要文化財の六番櫓。江戸期の大坂城では、二の丸南面の南外堀の内側城壁に、要所を固める隅櫓が7棟立ち並んでいたが、現在は六番櫓と一番櫓だけが残る。六番櫓は1628年(寛永5)造営で、徳川期大坂城の建築様式を知るうえで史料的価値が高い。 一方、櫓の南側は高い石垣と大きな堀に守られて人を寄せ付けないため、櫓壁面の状況などを調べることが難しい。ドローンであれば、堀の上空から櫓に近づいて自在に撮影することが可能だ。市内の都市公園ではドローン飛行は原則として禁止されているが、関係機関との調整を経て、実証実験が実現した。
大小2機のドローンが堀の上から撮影
撮影には大小2機のドローンが投入された。メーンの大型機が高精度の静止画を撮影し、小型機が動画撮影を行う。櫓からやや離れた場所で、操縦者がドローンを操作。大きな堀をはさんで外側で待ち構える筆者には、城内の森の中からドローンが出現し、上空へ舞い上がったように見えた。 やがてドローンは、櫓にゆっくり近づいてホバリングをしたり、堀の上を櫓の高さで水平移動しながら、櫓の屋根や壁面を撮影。ドローンが水をたたえた堀に落下しないか心配になったが、むろん杞憂に終わった。
実験終了後、民間会社のドローン操縦者は「高精度撮影のため、ドローンと櫓を、5、6メートルの一定の距離に保つところが難しかった」と振り返った。実験を企画した建築事務所代表は「撮影した画像を櫓の保守管理に役立ててほしい。これからは橋梁の定期点検などにドローンを活用したい」と意気込んでいた。 詳しくは大阪市や大阪商工会議所の公式サイトで。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)