コシヒカリ超え目指す福井県の新ブランド米 名称は「いちほまれ」
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コシヒカリ発祥の地、福井県が開発を手がけてきた新たなブランド米「ポストこしひかり」の名称発表会が19日、都内と地元福井県で同時に開かれた。都内の発表会には福井県の西川一誠知事らが出席。国内外10万件を超える応募の中から選ばれた新名称「いちほまれ」がお披露目となった。西川知事は「日本一、世界一の米に育て上げたいという強い思い、福井県のプライドが名前に入っている。皆さんに幅広く親しんでもらいたい」と今秋からの市場販売に自信をのぞかせた。 日本を代表するお米の発祥は何県?
「コシヒカリを超える米」
発表会では福井県農業試験場の清水豊弘場長が「約60年前、コシヒカリを生んだ福井県がすべての知見をつぎ込み、2011年から20万種をひとつずつ手植え、手作業で収穫調査してきた」と開発過程を説明。 続いて西川知事が「国内外から10万件を超える公募は新しいお米に対する関心の高さを感じている」と述べ、新名称「いちほまれ」を発表した。名称の審査に関わった、ポストこしひかりブランド化戦略会議委員長の服部幸應氏(料理評論家)は「コシヒカリを生んだ県で作ったそれを超える米になるという考えで名前が決まった。皆さんで食べて、いかに『いちほまれ』が優れているか味わってほしい」とPRした。
また西川知事は名称発表会後、「高級路線、富裕層を狙っているわけではない」と幅広い層への広がりを目指すとしたが、「味、クオリティで群を抜いたランキングになる最高のすばらしい米」、「価格帯は魚沼産の上、頂点を目指したい」とこの秋の出荷に強い自信を見せた。さらに「まずは来年の福井国体で提供し、2020年の東京五輪・パラリンピックでも味わってもらえるようにしたい」と抱負を語った。
味や生産性でコシヒカリを上回る評価
コシヒカリは戦争末期から戦後間もなくにかけ、元福井県農業試験場長・石墨慶一郎氏が開発。味の良さから全国に広まり、作付面積全国1位を守っている。しかし最近の高温化による質の低下を指摘する声や、各地でご当地米が作られるようになり、米ブランド競争は激化している。 県農試によると「いちほまれ」は評価テストの結果などから食味や、見た目などほぼすべての評価でコシヒカリを上回り、「絹のような白さとつや」、「口に広がる優しい甘さ」、「粒感と粘りの最高の調和」がそろった、と説明。またコシヒカリと比べ、稈長が約20センチ短いことから、倒伏に強く、加えていもち病に強いため、環境に優しい品質の安定した生産しやすいコメである、と強調している。 今後は5月15日に田植え式を実施。県が認定した生産者131人が、農薬・化学肥料を一切使用しない、または5割以上削減した「特別栽培米」2種と、2割以上削減した「エコ栽培米」の計3種類を育成。検査等級1等など品質基準を満たした米のみをこの秋から流通させる予定になっている。また、生産者だよりや開発情報などを今後、県ホームページで順次発信していくという。