動物も人も愛護、「セーブ・ザ・ダック」CEOが語る「ビジネス、規制、ESG」
WWD:今以上に90年代は搾取工場が多かった。
バルジ:その頃すでにアウトドア業界は地球に目を向けていたが、ファッション業界は気にしておらず、イメージに集中していた。どちらも衣類を生産するのになぜこんなに違うのか――私はファッション業界に身を置いていたので、ファッション業界に一ひねり加えてアウトドア業界がすでに着手していたことを応用しようと考えた。つまり、動物、人、自然に敬意を持った方法で、ファッション業界に変化をもたらすためにビジネスをしようと決めた。
WWD:羽毛の代替素材についての優位性や機能性について教えてほしい。
バルジ:倫理的な問題だけでなく、技術についてもメリットしかない。合成繊維は通気性がある。ダウンは着用したときからとても暖かく感じるが、汗をかくと湿気がこもりさらに汗をかく。「プラムテック(PLUMTECH、ペットボトルをリサイクルした微粒子をポリエステル繊維と配合したもの。軽量で通気性、速乾性、保湿性などに優れており、家庭用洗濯機で丸洗いもできる)」は、通気性があるため湿気を放出でき暖かさだけが体を包み込む。最初はダウンに比べて暖かく感じないかもしれないが、数時間着て動き回ると合成繊維の方がずっと快適だと感じられる。
もう一つの利点はメンテナンスだ。ダウンは時間が経つと羽根が抜け落ち劣化する。洗う回数にもよるが、少なくとも「プラムテック」はダウンよりも2倍以上は長持ちするし、10年は着られる。
eBayと連携した再販プログラムを提供
WWD:いわゆる羽毛の代替品の提案だけではなく商品カテゴリーが増えている。カテゴリーを増やしながらビジネスを拡大していくのか。
バルジ:温暖化の影響によりアウターウエアは、シェルとウォーマーのレイヤードが重要になってきており、シェルとウォーマーの組み合わせに注力している。例えば旅行者は軽量のこの2つのアイテムで雨や寒さに対応でき、単独で使用すれば雨や暑い日、寒い日にも対応できる。これが春夏コレクションにおけるアウターウエアの方向性だ。