東京五輪招致、経済効果をどう見ればいいの?/木暮太一のやさしいニュース解説
2020年の夏のオリンピック・パラリンピックをどこでやるか、大きな注目を集めています。来週9月7日土曜日に、ついに開催地が発表されます。 ―――「候補はどこだっけ?」 最終候補は、トルコのイスタンブール、スペインの マドリード、そして東京です。そして、現時点では東京が「優勢」と考えられています。 前回、日本で夏のオリンピックが開かれたのは、1964年です。もう50年も前のことなんですね。 そのため、そろそろもう1回オリンピックを日本で!と考える人も多いかもしれません。ただ、経済的に考えると、東京招致に躍起になっているのは「生で競技を見たいから」ではありませんね。オリンピックが日本で開催された時の経済効果を狙ってのことです。
1.2兆円と3兆円の違い
―――「オリンピックの経済効果はどれくらいなの?」 オリンピックを開催することで生じる直接的な効果は1.2兆円程度のようです。これには、外国人観光客が使うお金や、会場設備を建設するために使われるお金、大会運営費などが含まれます。 ただ、経済には「波及効果」があります。それを含めると、日本全体で約3兆円のメリットがあるという試算がされています。 ―――「どういうこと?」 簡単に言うと、「誰かが使ったお金は、別の誰かの所得になり、その人がまたお金を使うようになる」ということです。 外国人観光客が、東京のホテルに泊まり、東京のレストランで食事をすれば、そこでお金が使われます。それはすなわち、東京のホテルやレストランの売上が増えるということで、そこで働く人たちの給料が増える(もしくは、そこで働く人の人数が増える)ということです。 つまり、全体で考えて、日本人が手にする給料が増えるのです。ここまでが「直接的な効果」です。 そして、給料が増えれば、その分使うお金も増えますので、そのホテルやレストランで働く人たちは、より多くの買い物をするようになるでしょう。そして、その人達が使ったお金は、また別の誰かの給料になっています。つまり「波及」しているのです。 この「波及効果」まで含めると、約3兆円のメリットがあるようです(東京都の試算による)。 ―――「なるほど、それはすごい。やはりオリンピックやった方が経済にはいいんだね」