島根県、30歳前後が増加 移住策奏功か 大都市圏に次ぐ
全国の都道府県の中でも顕著に少子高齢化が進んできた島根県で、30歳前後の若年世代の人口が増加していることが分かった。県の発表によると、国勢調査などに基づく2015~20年の人口の動きで、15年に20~34歳だった年代の人口が、20年までの5年間で、東京都や大阪府などの大都市圏に次ぐ高い増加率を示した。県は移住支援策の成果が表れているとみて、定住を後押しする施策にさらに力を入れる考えだ。 県は、無料職業紹介や産業体験、交通費、引っ越し費用の助成など手厚い支援で、移住、定住を促してきた。就農支援では、JAや市町村と連携して、研修、経営の計画や住居をセットにした「就農パッケージ」を用意し、U・Iターンを呼び込んでいる。 県の発表では、生まれ年に着目した年代別の人口の変化率で、15年に30~34歳だった層は、20年に3・2%(約1100人)増加した。同20~24歳の層は5・7%(約1500人)、同25~29歳の層も5・1%(約1500人)増加。県は「転入が転出を上回ったことを示す。地方ではまれな動向だ」と説明する。 人口減少速度も緩やかになっている。同県の20年の人口総数は67万1000人で全国46位。一方、人口増減率は32位。15歳未満人口の構成割合は、15年の27位から16位に上昇し、65歳以上の人口割合は同3位から4位に低下した。 県は「長年の移住促進施策の成果も出てきている。県外からの転入で従来の人口動向に変化が見られる中、U・Iターンの促進、子育て支援など今後も定住に関する施策の継続が必要だ」としている。
日本農業新聞